2019.5.17
資産運用

ビジネスマンが定年前後に考えるべき不動産の小型化

(画像=WHYFRAME/Shutterstock.com)
(画像=WHYFRAME/Shutterstock.com)
賃貸派か、持ち家派かは、いささか旧聞に属する議論ですが、ライフプラン作成においては、とても重要です。筆者はFPとして、これまでたくさんクライアントのライフプランを作成してきましたが、老後のキャッシュ・バーン、すなわち老後資金がなくなるタイミングは、圧倒的に賃貸派の方が早くやってくる傾向があります。

ビジネスマンであれば、定年前後に住宅ローンを繰り上げ返済などで完済し、老後は住宅費の負担を固定資産税や修繕積立金だけにすれば、住む場所の心配から開放され、精神的負担が大幅に軽減されるでしょう。

定年前後の不動産の小型化

子どもがいるご家庭の場合、子どもたちが独立すると、自宅が不必要に大きすぎる、というケースが出てきます。このときの選択肢としてはいろいろな方法がありますが、住み慣れた土地で、友人やご近所との関係も作れたので、大きい家にそのまま住み続けるという人が多いでしょう。

しかし、大きすぎる不動産を売却し、もう少し小さい家に住み替えを考えるタイミングかもしれません。筆者は、これを不動産の小型化と呼びます。どんな方法があるか、整理していきましょう。

1 持ち家物件の買い替え(持ち家から持ち家へ)

2 持ち家物件の売却(持ち家から賃貸へ)

3 持ち家の購入(賃貸から持ち家へ)

この3つのパターンをそれぞれ見ていきましょう。

1 持ち家物件の買い替え(持ち家から持ち家へ)

子どもが巣立って行き、夫婦二人もしくは一人になることで、それまでの住居が大きすぎるので売却し、小さな物件を購入するケースです。

たとえば、首都圏郊外に100平米以上の戸建てを所有しているケースを考えてみましょう。夫婦二人もしくは一人では広すぎるので、小さな家に買い替えます。買い替える物件は、都心に近いマンションなども考えられますが、退職を機に思い切って地方に移住するという選択肢もあります。

この買い替えのときに注意したいのは、今の戸建てが望む金額で売却できるかどうかです。建物は経年劣化でほとんど価値がないので、土地の値段がポイントになります。購入時とは経済環境が変わっているため、望む価格では売れないかもしれません。

一例として、人気のある田園都市線のたまプラーザ駅周辺の、美しが丘の土地価格の変遷を見てみましょう。

公示地価ベースで見ると、ピークは1988年(バブル崩壊前)の約278万円/坪でしたが、2019年には約124万円と半値以下に下落しています。購入したタイミングにもよりますが、他の郊外の戸建ての土地価格も同じような値動きだと思われます。所有物件の場所によっては、ピーク時からの下落率が8~9割のところもあります。

2 持ち家の売却

定年後かなり月日が過ぎて身体の自由がきかなくなり、自宅を売却して介護施設に入居することも考えられます。介護施設は、民間か公的施設かによって入居費用が大きく変わります。その時になって慌てないように、いろいろな施設に下見に行ったり、入居費用を調べるなど、事前準備をすることが大切です。

最近では、仕事の都合で都会に住んでいた人が、定年後に自分のやりたいことを見つけた結果、地方や海外へ移住することもあるかもしれません。地方であれば、空き家バンクなどに登録している物件に移るケースなども考えられます。自宅を売却したお金を老後の生活資金とすることもあるでしょう。

また、近年では海外でのロングステイで、一年のうち半分を日本で、半分を海外で過ごすというケースもあリます。その時の日本の住まいとして賃貸物件を選ぶこともあるでしょう。

3 持ち家の購入

それまで賃貸物件に居住していた人が、定年間近になって住宅を購入するというケースも少なくありません。現役時代に賃貸物件に住み、蓄えたお金を頭金にしてローンを組み、小型の物件を購入するという選択です。

平均余命が男女とも長くなっている現在において、賃貸であれば生涯で払い込む家賃も増えていくことが考えられます。老後における不確定要素をできるだけ少なくするために、小型の物件を購入することを考えてもよいのではないでしょうか。

子どもの独立後であれば、夫婦で住めるサイズの物件で十分でしょうし、新築ではなく中古物件でも問題ないでしょう。通勤の便を考慮する必要がなくなれば、首都圏郊外、もしくはUターン・Iターンで地方を選ぶことで、購入費用を抑えることができます。

定年前後の居住スタイルの変化について、3つのパターンを見てきました。すべてのパターンに共通しているのが、不動産の小型化です。必ずやってくる定年という事実を受け入れつつ、ライフプランの要である住宅について良く考える絶好の機会であるとも言えるのではないでしょうか。


中村 伸一 (株)マネーデザイン代表取締役

学習院大学卒業後、外資系会計事務所、銀行、証券会社を経て、2014年FP会社である株式会社マネーデザインを立ち上げ、代表取締役に就任。
日本人のマネーリテラシーを上げることが、ひいては日本経済の向上につながるという信念のもと、Web上でのお金に関する情報発信や講演活動を行う。またFPとして、ライフプランをベースにした、中小企業、個人のお客様の住宅購入、各種生命保険加入、資産運用、相続・事業承継などのご相談を承っている。

保有資格
ファイナンシャルプランナー(AFP)、宅地建物取引士、証券外務員1種、生命保険シニアライフコンサルタント、変額保険販売資格、海外ロングステイアドバイザー、日商簿記検定2級

【オススメ記事】
資産運用で結果を出したいなら、本業の労働に集中すべき理由とは
日本人の平均的な生涯所得、生涯支出と資産運用が重要な理由
公務員こそ資産運用を積極的にするべき理由
老後の住まいの選択肢、リバースモーゲージの現状
何から投資を始める?株式投資と投資信託 手間とコストとリターン等を紹介
PREV 最近話題の「レンタルスペース運営」は「マンション経営」よりも魅力的か

公式Twitterアカウント