2019.1.21
税金

節税重視のマンション経営者が「5戸10室」にこだわるのはなぜか?

(写真=Grand Warszawski/Shutterstock.com)
(写真=Grand Warszawski/Shutterstock.com)
不動産投資の目的はさまざまですが、「所得税・住民税の節税をしたい」という方も多いでしょう。マンション経営による節税対策は、所有する部屋数が一定規模を超えると一気に有利になります。ここでは、「どれくらいの部屋数がボーダーラインなのか」「どんなメリットがあるのか」について解説します。

部屋数を多く所有している方が所得税の節税では有利

同じマンション経営者という立場でも、たくさんの部屋数を所有している方は、部屋数が少ない方よりも所得税の節税で有利といえます。なぜなら、一定の部屋数があることで「公から事業的規模として認められる」からです。事業的規模として認められることにより、青色申告をした際に「65万円までの青色申告特別控除」が受けられます。

確定申告時に、この「青色申告特別控除額65万円」と「基礎控除額38万円」を合算した「年間103万円まで」の所得に税金がかからなくなるのです。

部屋数が少ないと青色申告の特別控除額はどうなる?

ここで不動産投資の初心者が引っかかるのは、「部屋数が少ないマンション経営者の所得税の控除はどうなるのか?」ということでしょう。公から事業として認められない規模の場合、「特別控除額は10万円」になります。「基礎控除額38万円」と合算すると、年間48万円までの所得に税金がかからなくなります。

公で事業的規模と認められる部屋数とは?

「65万円までの青色申告特別控除」が認められる事業的規模とは、具体的にどれくらいなのでしょうか? これについて国税庁は「5棟10室」という目安を提示しています。「5棟」というのは戸建て貸家の棟数のことです。一方の「10室」というのは、アパートやマンションの部屋数のことです。つまり、5棟の戸建てか、10室の集合住宅を経営していれば、事業として公に認められることになります。(※)戸建てと集合住宅の組み合わせでも、一定数を超えれば事業的規模として認められます。

※国税庁の表現そのままでは「おおむね5棟」「おおむね10室」という微妙な言い方になっている点に留意が必要ではあります。

事業的規模のメリットには「青色事業専従者給与」もある

10室以上を所有するマンション経営のメリットとしては、「青色事業専従者給与」という仕組みが使える点もかなり大きいです。これは、マンション経営の事業を手伝ってくれた、妻や子などの身内に給与を払えるというものです。
(※2)この給与はもちろん、経費に算入できますが対価に見合う実態が必要です。

タイムカードや出勤簿をつけておけば、後々、税務調査時などに証明しやすくなります。業務の対象は、家賃管理、不動産に関するデータ収集、帳簿付けなど不動産事業と直接関わる事柄が考えられます。

※2 身内といっても「生計を一にする親族」というただし書きがつきます。別に住んでいる兄弟などは対象外になります。

所有部屋数が多くなると事業税発生のデメリットも

最後に、10室以上を所有するマンション経営のデメリットにも触れておきます。それは「事業税」が発生することです。所得税・住民税は国に払うものですが、事業税は都道府県に払うものです。また、所得税は青色・白色などの自己申告が必要ですが、事業税は自己申告しなくてもいいという違いもあります。(※3)事業税は、「青色申告特別控除」を適用する前の不動産所得の額が290万円以下なら発生しません。それ以上の不動産所得が対象になります。計算式は下記の通りです。

・(所得税の不動産所得+青色申告特別控除−290万円)×5%

たしかに、「5戸10室に該当することで」事業税は発生するものの、大半のケースではメリットの方が大きいのが一般的です。節税重視のマンション経営者は、10室以上所有を目標に物件を計画的に買い増していくとよいでしょう。ただし、空室リスクのない物件を購入していくことが安定経営の観点から重要です。

※3 個人の場合。また確定申告をしていない場合は、都道府県税事務所での申告が必要です。

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