2018.10.30
税金

区分所有物件を使った相続税対策

(写真=noppawan09/Shutterstock.com)
(写真=noppawan09/Shutterstock.com)
相続税は、2015年1月から基礎控除額が下がり増税となりました。そのため、さまざまな方法を使っての相続税対策が紹介されています。その中でも現預金を不動産に変えることで、評価減を使った相続税圧縮策がよく紹介されています。ここでは、その中でも区分所有物件を使った相続税対策を改めて確認していきましょう。

なぜ、現金を不動産に変えると節税になるのか

現金を法定相続人に相続する場合、現金の額面に対して相続税が計算されます。しかし、もし不動産に変えることができれば、評価額の違いにより節税につながります。下記の具体例で見ていきましょう。

Aさんは、1億2,000万円の現金があり、それを息子のBさん1人に相続すると仮定します。実際、Aさんが亡くなり、相続が発生した場合、納税額は下記となります。

・課税対象金額
現金1億2,000万円-基礎控除3,600万円(3,000万円+法定相続人1人×600万円)=8,400万円

この8,400万円に「5,000万円超1億円以下」の相続税率30%が乗じられて計算されます。

・納税額
課税対象額8,400万円×相続税率30%-控除700万円
=納税額:約1,820万円

この1億2,000万円を1戸当たり2,000万円の区分所有物件に変えたとしましょう。相続税での不動産評価は土地は路線価、建物は固定資産税評価額で評価します。その結果、土地は公示価格の約80%、建物は建築費の約60%に評価が下がります。

・相続税における不動産評価
土地:路線価評価/公示価格の約80%
建物:建築費の約60%

その評価額が1戸500万円だと仮定すると、相続税の評価額は下記となります。500万円×6戸=約3,000万円となり、結果的に評価額が圧縮されます(この場合、基礎控除3,600万円以下のため相続税はかかりません)。
さらに、相続時精算課税制度の範囲内であれば、2,500万円までは生前贈与しても、贈与時点では非課税となります。

ただし、相続時精算課税制度は贈与された時点での納税が猶予される制度であり、相続時には相続税が発生するケースがあるため注意が必要ですが、その物件を賃貸に出すことにより、その期間家賃収入が入ることは大きなメリットになります。例えば、年間100万円の家賃が見込まれる物件の場合、それを5年賃貸に出す場合、100万円×6戸×5年=3,000万円が家賃として入ります。

相続財産がもっとある場合

もし、相続財産がさらに大きな場合は、資産管理会社を設立し、親から子へ法人を引き継ぐ方法もあります。これも具体例で見ていきましょう。わかりやすく説明するため、仮に6億円の相続したい現金があると仮定します。それをそのまま相続人1人に贈与した場合の贈与税は下記となります。

・課税対象額
6億円-控除110万円=5億9,890万円
上記に対して贈与税が課税されます。

3,000万円超の贈与税率は55%ですので、贈与税額は下記となります。

・贈与税額
5億9,890万円×55%-控除400万円=3億2,539万5,000円

この場合に、この現金6億円を使って資産管理会社を設立しましょう。資本金として入れるのではなく、会社への貸付金として6億円を移転します。ここがポイントです。

さらに、銀行から4億円を借り入れ、合わせて10億円のマンションを購入するとします。仮に2,000万円の物件を50戸買うこととしましょう。そうするとその物件評価額が3億5,000万円としますと、銀行からの借入金より物件の評価額が低いこととなり、その場合、会社の株式評価額はゼロとなりますので、無税で親から子へ贈与ができます。

現金6億円+借入金4億円=10億円でマンションを購入
【資産状況】
・物件評価額:3億5,000万円
・借入金:4億円
相続税評価額は△5,000万円(相続税は発生しません)

タワーマンションを使った節税

また、一時期もてはやされたタワーマンションを使った節税スキームは、低層階と比べて高層階に行くほど、物件価格が高いにも関わらず、相続税評価額は変わらないという点で富裕層に使われていました。対象となる物件は、特に東京湾岸エリアで増え続けている物件で、20階以上を想定して改正が行われました。

このような物件の相続税や固定資産税の評価額は、マンション1棟の評価額を部屋ごとの面積で按分して計算します。過去は階層による差はなく、同じ面積なら1階も最上階も同じ評価額となっていました。しかし、資産評価システム研究センターが全国の新築高層マンションの分譲価格を調査したところ、最上階の床面積当たりの平均単価は、最下層と比べ、平均46%高いことが判明しました。

富裕層は高層階の物件を購入し、実勢価格と相続税評価額の差額分を圧縮することが可能でした。これを修正するために、2017年4月以降に新築された物件に限り、高層階に行くほど評価額を上げ、逆に低層階に行くほど評価額を下げることになったのです。したがって、以前ほど、タワーマンションを使った相続税節税が下火になりました。

以上、記載した相続税の節税の方法については、そのときの税法や租税特別措置法によって変わってくる可能性があります。実行にあたっては、相続税や資産税専門の税理士にご相談することをおすすめいたします。

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