コロナ禍で開設殺到のNISA みんなは実際にどう使っている?

コロナ禍で開設殺到のNISA みんなは実際にどう使っている?資産運用

新型コロナウイルスのまん延によって将来的な不安を感じたことで、資産運用を本気で考える人が急増傾向です。投資先の選択肢の一つがNISA(少額投資非課税制度)で、ネット証券を中心に口座開設者が殺到しています。そこで今回はNISAの勢いを数字で確認しつつ、みんながNISAをどのように活用しているのか傾向をリサーチします。

大人気のNISA 直近の2年間で132万口座も開設された

直近でNISA口座の開設数は、どれくらい増えているのでしょうか。NISAの主な種類には「一般 NISA」と「つみたてNISA」があります。2018年3月~2020年3月までの口座数の推移は次のようになっています。
 

調査年月一般 NISAつみたて NISA
2018年3月664万口座29万口座
2019年3月689万口座65万口座
2020年3月711万口座114万口座

参照:日本証券業協会「NISA口座開設・利用状況調査結果について 2020年3月」

2018年から2年間で一般NISAは47万口座増、つみたてNISAは85万口座増となっており合計132万口座も開設されています。

コロナ禍でNISA人気がさらに加速 前年同月比2.8倍の開設数に

より一層NISA人気に拍車をかけたのが新型コロナ感染の拡大です。2020年5月23日付の日経新聞ではネット証券大手5社の2020年4月のNISA口座開設数が約11万件と前年同月比の2.8倍に膨れ上がっていることを報じています。コロナ禍にもかかわらずNISA口座開設が好調な理由については以下の3つが挙げられています。

  • 在宅勤務の増加
  • 株式市場の急落
  • 老後資金の不安

1.在宅勤務の増加

自宅にいる時間が長くなりオンラインで口座開設ができるネット証券に有利に働いたといわれます。

2.株式市場の急落

2020年2~3月のコロナショック時の「株式市場の急落」も理由の一つです。値下がりしたタイミングを「資産形成の絶好の機会」と考えた若い世代が数多く参入したと見られています。

3.老後資金の不安

老後資金2,000万円問題などで潜在的に高まっていた不安がコロナ禍でより切実になり、行動に結びついた可能性があると考えられます。

投資初心者の割合は一般NISA約4割、つみたてNISA7割超

NISAはどんな人にどのように使われているのでしょうか。NISAは投資初心者に多く利用されている制度といわれています。日本証券協会の「NISA口座開設・利用状況調査結果(2020年3月31日現在)について」によると、一般NISAの投資初心者の割合は39.6%、つみたてNISAは73.8%でした。特につみたてNISAは初心者の割合が高く口座開設者の約4人に3人が初心者です。

つみたてNISAで投資対象になっているのは、金融庁が「長期・積立・分散投資」に適していると認めた銘柄のみです。ローリスク商品が中心のため投資初心者でも始めやすいといえます。またネット証券であれば月100円から積み立てできる手軽さも投資初心者向きです。

これらの内容を踏まえると、初心者でも資金的にある程度余裕があり短期的なリターンも狙いたい人が年間120万の枠がある「一般NISA」、将来不安が先行した安定志向の人が「つみたてNISA」という選択をしているように推測できます。

保有商品は、一般NISA「株式」重視、つみたてNISA「投信」重視

では具体的にNISA利用者はどのような金融商品を運用しているのでしょうか。 投資信託協会の行った「2019年投資信託に関するアンケート調査報告書」によると、一般NISAやつみたてNISAで運用している金融商品の割合は以下のようになっています。

一般NISAでの保有商品

金融商品割合
株式63.0%
投資信託39.7%
ETF4.5%
J‐REIT6.6%
その他不明など9.1%

つみたてNISAでの保有商品

金融商品割合
投資信託82.1%
ETF4.5%
その他不明など17.1%

参照:投資信託協会「2019年 投資信託に関するアンケート調査報告書」

上記の結果を見ると同じNISAでも一般とつみたてでは運用傾向が大きく違うことが分かるでしょう。一般NISAは株式重視、つみたてNISAは投資信託の比率が圧倒的に高い傾向です。

つみたてNISA=外国株式中心とは限らない

投資初心者に人気の「つみたてNISA」の傾向をさらに追ってみましょう。前項で見た通りつみたてNISAでは投資信託を保有している人が8割を超えますが、具体的にどのような種類の銘柄を運用しているのでしょうか。割合が多い順に見ていきましょう。
 

投資対象割合
外国株式中心33.8%
国内株式中心30.5%
国内債券中心25.9%
さまざまな資産19.1%
外国債券中心13.7%
不動産投信中心6.0%

参照:投資信託協会「2019年度 投資信託に関するアンケート調査報告書」

投資初心者の入門書などでは、長期的に成長が見込める外国株式中心の投資信託を推進するのがセオリーです。しかし実際には、国内債券や国内株式などかなり幅広い銘柄に投資されていることが見て取れます。このなかには、投資初心者でよく分からないから、とりあえず分散させて……と考えている人が増えているかもしれません。やみくもな選択はリスクヘッジにならないため注意したいところです。

つみたてNISAで毎月3万円以上積み立てている人が約半数

最後につみたてNISAでみんなが毎月どれくらい積み立てているかをチェックしてみましょう。楽天証券の調査によると毎月の平均積立額は2万4,142円でした。(2020年5月末時点)内訳は次の通りになります。
 

毎月の投資金額割合
1万円以下27%
2万円以下14%
3万円以下12%
3万円超47%

参照:楽天証券「2020年5月末データより」

ちなみに、つみたて NISAの年間の非課税枠は40万円です。これを12ヵ月で割ると毎月約3万3,000円が積立額の上限になります。上記の調査結果から上限額近くまで毎月積み立てている人(3万円超)が約半数をいることが把握できるでしょう。

コロナ禍ではNISAを含めたさまざまな資産運用を進めるべき

一口にNISAによる資産運用といってもいくつもの選択肢があることが分かります。これからNISAをはじめる人はしっかりと勉強したうえで最善の選択をしていきましょう。

コロナ禍によって中長期的な不景気の可能性が高まっています。公的負担の増大や収入減少に備えて、長期での資産形成を進めるのが賢明な選択です。まずは幅広く情報収集をして、NISAに止まらずさまざまなジャンルから自分に合った安定した資産運用先を見つけましょう。

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アセットONLINE編集部
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