「老後に2,000万円が不足する」という金融庁ワーキンググループの報告書によって、資産運用に対する関心が一気に高まったようです。子どもの教育資金や住宅資金、そして安心して余生を過ごすための老後資金といったお金を貯めるためには、いろいろな方法があります。その一つに、金融資産の分類から入る考え方があります。以下でその方法を解説していきましょう。
お金の置き場所を3つに分類
資産運用で多くの人が陥りやすいのは、「収入-支出=余剰資金(資産運用)」という考え方です。この発想では一向にお金はたまりません。では、これをどう変えるべきなのでしょうか。
(収入-貯蓄)-支出=余剰資金(さらに貯蓄に回す)
という思考に変える必要があります。入ってきたお金の一部をすぐに貯蓄に回し、ないものとして考える「強制貯蓄」が有効です。ある人にとっては、積立型生命保険の保険料がその一つでしょう。iDeCoやNISAといった積立型の金融商品も検討すべきです。
次に、ある程度貯まったお金を以下の3つに分類します。
1 生活資金
2 ゆとり資金
3 増やす資金
生活資金
これは文字通り日常生活に必要なお金で、銀行の普通預金口座や定期預金口座などに入れておきます。ネット系や流通系の銀行では、メガバンクやゆうちょ銀行より若干高い金利を提示していることがあります。そのような銀行で口座を開設し、そこに生活資金を入金していきます。3~6ヵ月分の生活資金を入れておくのがおすすめです。
ゆとり資金
ゆとり資金はとにかく安全性重視で、お金を減らさないことに重きを置きます。使う商品は、定期預金や国内債券(物価連動国債)、公社債投信、外貨預金、分配型投資信託、年金保険(定額・変額)などです。総金融資産の10~30%程度を割り振ることを考えてみましょう。適正な割合は、その人の年齢や投資経験、家族構成、リスク許容度などによって変わってきます。一般的には、年齢が高くなるほどこれらの金融商品の割合が高くなります。
増やす資金
こちらが本当の意味での資産運用のお金です。ポイントは、仕事としての運用と趣味としての運用に分けうことです。
仕事としての運用は、淡々と行います。「お金を働かせる」という意識で投資するので、投資力がものを言います。IFAなどからコーチングを受け、リスクコントロールをしながら長期分散投資や積立を行います。
仕事としての投資なので、面白くなく退屈です。商品を選択した後は、淡々と投資を継続し、お金に働いてもらいます。
バランス型投信や投信を活用したポートフォリオ運用が中心で、投資一任運用のロボアドバイザーなども適しています。基本的な考え方は複利効果を最大限に活用することなので、投資信託は無分配型が中心です。
運用のポイントはとにかく続けることであり、「長期」「分散」「積立」が最適です。したがって税制優遇としては、iDeCoやつみたてNISAが使える商品を選択します。
趣味としての投資では、相場の上がり下がりに一喜一憂しながら楽しめるお金を充てます。必要なのは相場感やタイミング、銘柄選択力などです。したがって個別銘柄を研究しながら、積極的にリスクテイクします。お金を分散すると投資効果が薄れるので、ある程度増えるまでは集中投資します。
趣味としての投資なので面白く、ドキドキ感を味わえます。しかし個別銘柄などの選択にあたっては、PERやPBRなどのファンダメンタル分析やマクロ経済分析、チャートを使ったテクニカル分析などを活用します。分配型の投資信託や配当・株主優待目当ての個別株を考えてもいいでしょう。
人によっては信用取引、FXや日経225先物なども考えられます。ただし、ここで大切なのは自分なりの「手じまい」のルールを持つことです。買いから入っても売りから入っても、最後は必ず反対売買を行います。したがって利食いや損切りについて自分でルールを作成し、それが守れるかどうかが非常に重要になります。趣味としての投資では、税制優遇制度としてNISAや特定口座を使います。
まとめ
このようにお金を増やすときに3種類に分け、さらに増やす資金を仕事としての投資と趣味としての投資に分けて、それぞれを運用していきます。まずは、「お金の置き場所」を考えることから始めてみてはいかがでしょうか。
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