「100年人生が当たり前」の時代に突入。老後生活の常識はどう変わる?

「100年人生が当たり前」の時代に突入。老後生活の常識はどう変わる?資産運用

書籍・CM・イベントなど、さまざまなシーンで「人生100年時代」のキーワードに出会う機会が多くなりました。「人生100年時代」が時代を読み解くキーワードとして注目されたのは、『LIFE SHIFT』という一冊の本がきっかけ。この本で示された考えは、今や日本の国策にも影響を及ぼしています。まもなくやってくる100年時代の心構えを一緒に学びましょう。

日本では2050年までに100歳以上が100万人超になる

書籍『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)100年時代の人生戦略』は、100年人生が当たり前になる時代の、新たな人生設計の考え方を示す内容です。著者は、ロンドン・ビジネススクールのリンダ・グラットン教授。次に挙げる書籍内で示された予測は私たちに衝撃を与えました。

世界でもトップクラスの長寿国である日本では、2050年までに「100歳以上の人口が100万人超」になると予測される。さらに、2007年に日本で生まれた子供の半数以上が「107歳以上の寿命」になると予測される。

書籍『LIFE SHIFT』は、今や日本の経済界、国さえも動かしています。政府は有識者による『人生100年時代構想会議』を立ち上げ、国家のベースをリデザインしようとしています。ちなみに、著者のグラットン教授はこの会議のメンバーにも起用されています。

2018年6月には、この構想会議を主体に練られた「人づくり革命 基本構想」を発表。これから日本が進んで行くべき人生100年時代の概要が示されました。その内容は次の3つの柱に集約されます。

・65歳以上の継続雇用年齢引き上げ、高齢者の雇用促進、公務員の定年引き上げ
・リカレント教育(生涯学習)によるキャリアアップ、キャリアチェンジ
・幼児教育、義務教育、高等教育のさらなる充実

シニアになっても私たちが働き続けなければならない理由

リンダ・グラットン教授は、私たちが100年時代を考えるための豊富な材料を提供しています。その中から取り上げたいのは、老後の生活を維持し続けるために必要な貯蓄率の変化です。

グラットン教授は、3人の世代の違う男性をモデルケースに、若い世代ほど厳しい経済状況に置かれていることを次のようにわかりやすく解説しています。

1945年に生まれた人が老後生活を維持するためには、現役時代の所得のうち4%を貯蓄に回すだけで済みました。それが、1971年に生まれた人は、所得の17%以上を貯蓄に回す必要があります。さらに、1998年生まれの人は所得の25%を貯蓄に回す必要があるのです。

若い世代ほど貯蓄が必要な理由は、「年金制度の弱体化」と「寿命が延びたこと」です。

「人生100年時代」は「資本所得の時代」ともいえる

「人生100年時代」をまもなく迎える私たちには、グラットン教授や政府が提示するように、「シニア世代になっても働き続けるのが当たり前」の人生設計が必要です。

とはいえ、シニア世代になってもアクティブに働き続けられる人がいる一方、健康状態から思うように働けない人もいます。将来、自分がどちらのシニアに属するか、何歳まで健康で働くことができるかを正確に予測することはできません。だからこそ、労働所得だけに頼る人生ではなく、資本所得と労働所得を組み合わせた人生を考える必要がありそうです。

資本所得とは、投資や資産運用によって得る所得のことです。労働所得と違って、資本所得を得るのに体力は必要ありません。労働所得は体力に勝る若い世代が有利ですが、資本所得は体力に左右されることもありません。また、シニア世代になると若い世代と比べて、収入が減る傾向がありますが、資本所得があることで減った分をカバーすることもできます。

このような意味で、「人生100年時代」は「資本所得の時代」ともいえそうです。ただし、投資、資産運用といっても、老後の生活を支えることが目的なので、堅実でリスクのない選択が前提になります。

著者・監修者プロフィール

アセットONLINE編集部
アセットONLINE編集部
アセットリードが運営する「アセットONLINE」では、将来を見据えた資産形成を考えるビジネスパーソンのために、不動産投資、資産運用、税金、マーケットに関する情報をわかりやすく配信しています。