日本人の平均生涯所得とは?人生100年時代にお金を増やすためにできること

資産運用

いつのまにか人生100年時代などといわれるようになった現代ですが、会社員にとって不安なのは、いつまで働かなければならないのかということではないでしょうか?

また、生涯どれくらいの所得を稼げば老後安心して暮らしていけるのかも知っておきたいところです。

今回は日本人の平均生涯所得とお金の増やし方について解説します。資産運用の重要性が身にしみる昨今です。ぜひ参考にしてください。

日本人が生涯で稼ぐ総収入は平均2億7000万円

日本人が生涯で得る収入について、2021年に発表された「独立行政法人労働政策研究・研修機構」の調査結果によりますと、大学・大学院卒男女の平均額は約2.43億円です。日本人の生涯収入は学歴や性別などによっても差があります。

また、1995年発表時には日本人の大卒男女の平均生涯収入は2.96億円だったため、生涯所得は20年近くかけて徐々に下降してきているという現状もあります。

ここでは、さまざまな角度から、日本人が得ている生涯年収について解説していきます。まずは気になる日本人の最新平均寿命をご覧ください。

そもそも日本人の寿命はどのくらい?

厚生労働省の発表によりますと、日本人の平均寿命は女性の方が高く87.57歳、男性は81.47歳(2021年)です。男女ともに平均寿命は前年よりもやや延び、人生100年時代もいよいよ現実味を帯びてきたといえます。

WHO(世界保健機関)が統計に加えている国の中では、男女ともに日本の寿命の長さは世界1位であり、日本はいまや正真正銘の世界的長寿国なのです。

日本人の平均生涯所得は男女で差がある

記事の冒頭でお伝えした日本人の男女平均生涯所得2.43億円は大学・大学院卒の男女あわせた平均値でした。一方で男女別に生涯で稼げる所得を調べてみると、男性は2.69億円、女性が2.17億円と、その差は5200万円に上っています。

待遇格差などが是正されても、女性ならではのライフイベントなどが男女間の生涯所得差に影響していることが想像されます。

正社員と非正規では生涯で稼げる額に大差がある

平均生涯収入が2.43億円もあると聞くと驚きますが、これだけ稼いでいるのはあくまで正社員です。

先に引用したものと同じ調査によりますと、非正規雇用者については、男女あわせた大卒者の平均生涯年収が1.13億円であるといいます。つまり、非正規社員と正社員との生涯年収の差は実に1.3億円にも上るのです。

日本人が一生で使うお金「生涯支出」は平均約3億円!

日本人が生涯で使うお金は平均約3億円とされており、平均値だけを見れば、支出が収入を上回っているのが実情です。もちろん、稼ぎが多く、支出よりも収入が上回るという方も大勢います。

ただ、コロナ禍や慢性的な不況下にある中で、安定収入といわれるサラリーマンでも、生涯ゆとりある暮らしができるかどうかは未知数です。ここでは、生涯支出が生涯所得を上回る人が増える可能性についてお伝えします。

生涯支出は生涯の所得を上回る可能性大

日本人の生涯所得は大卒平均で2.43億円ですが、生涯支出平均額が約3億円なので、平均的な収入の人は、将来的にお金が不足する可能性が高いといわざるを得ません。

しかも、生涯所得は年々下降傾向にある反面、日本人の平均寿命は年々延び続けています。つまり、一生に稼げる所得は減る一方なのに、寿命は延びて出費は増え続けてしまうということです。

住居・教育に加え介護にもお金がかかる

家庭のある会社員は、家を買ったり育児をしたりするのに大きな資金が必要となります。さらに現在は少子高齢化が進み、高齢になっても仕事をやめることができない方が増えているほか、育児世代が同時に介護も行う時代になっています。

会社に勤めながら介護をするには高額な費用が必要です。「生命保険文化センター」の調査によりますと、1人を介護するのにかかる費用は総額500万円程度といいます。

もちろん介護費だけでなく、自分自身や配偶者の老後資金も重大です。先ほどと同じ機関の2019年の調査では、夫65歳・妻60歳の無職家庭で、平均月額約3.3万円の生活費が不足していた実態も報告されています。

このような厳しい現状を見ると、平均的な生涯収入だけでは対応しきれない人が、今後ますます増えていくことが予想されます。

生涯所得を増やせばゆとりある人生を送れる!

寿命が延びること自体は歓迎すべきでも、それに伴って生涯支出が増え、生活が苦しくなるのはつらいことです。

増えていく一方の生涯支出をカバーするには、生涯所得を増やす以外に方法はありません。生涯所得を増やすには、どんな方法があるのでしょうか。次に詳しく紹介します。

資産運用も重要!生涯所得を増やすためにできること

生涯所得を増やすとひと言でいっても、会社に勤めながら所得を増やすのは簡単ではありません。所得を賢く増やすポイントは、いかに自分自身の生活スタイルに合う方法で無理なく稼ぐかにあります。ここでは会社員が生涯所得を増やすためにできることを紹介します。

副業・アルバイトをする

アルバイトなどの副業を認めている会社に所属している場合は、会社の休日などにバイトを始めるというのは所得を増やすのに手っ取り早い方法です。一度に大きく稼ぐことはできませんが、着実に収入を増やすことはできます。

デメリットは心身の疲労が蓄積してしまうことです。体を壊してしまえば元も子もありません。シフトの入れ方や就労時間には十分注意が必要です。

資格取得など自分に投資してキャリアアップを図る

会社で昇進したり、もっと待遇の良い会社に転職したりするためには、資格取得することも資産形成に有効的です。

専門性の高い業務を行うことができれば報酬もアップしますし、士業など高収入な職業に転身すれば生涯収入を増やせる可能性が高まるでしょう。

ただし、資格取得をしたからといって必ずしも収入アップに直結しない場合もあることや、資格取得に一定以上のコストがかかること、資格を取るまでに時間がかかることなどはデメリットといえます。

株式投資やFXで資産運用する

株式投資とは株式会社が発行する株の売り買いで差益を稼ぐ投資方法です。また、FXは異なる2国以上の国のお金を、為替変動を利用して差額で稼ぐ投資方法です。

株式投資やFXは少額からでも気軽に投資ができますが、俗にいうハイリスク・ハイリターン型の投資である点や、人によって向き不向きが大きい点などはデメリットといえます。

不動産投資で資産運用する

不動産投資とは、投資目的で購入したマンションなどを元手に家賃収入を得る投資方法です。数ある資産運用の中でもギャンブル性がきわめて低い堅実な投資として知られ、その性格上、生命保険代わり・私的年金代わりに活用する人も増えています。

最近では自己資金が少なくても始められるマンション経営という手法もあり、とくに立地が良く高級感のある新築マンションなどに投資すると、長期にわたって安定的に家賃収入が得られると人気です。一方、空室が発生すると収入が減ってしまう可能性がある点などはデメリットといえるでしょう。

しかしながら不動産投資の場合は、経常的な家賃収入に加え不動産自体に資産的価値があるため、市況を見ながら不動産を売却することで利益を得ることにも期待が持てます。

また、不動産を資産として保有することは、将来の相続税対策としても機能しますので、不動産投資は長期的かつ安定的な資産運用と将来の相続対策の一環としてもきわめて有効です。

まとめ

人生100年時代には生涯収入を増やさない限り、支出だけが増えてしまいます。公的年金に大きな期待ができなくなった現代では、個人的に資産運用や資産形成をしていかなければ、老後の生活も不安です。

資産運用には高いリスクを伴うものもあれば、じっくり腰を据えてお金を増やせるタイプもあり、自分自身に合うものを選ぶことが大切。また、初心者の方が投資を行う場合には、信頼できる専門家から助言を受けながら行うことも成功の秘訣といえます。


著者・監修者プロフィール

八城孝夫 (やしろたかお)
税理士 渡辺正武税理士事務所
認定経営革新等支援機関、一般社団法人融資コンサルタント協会 認定コンサルタント。青山学院大学大学院法学研究科修了。事業承継対策、遺言・民事信託を活用した相続対策をはじめとした相続対策の企画立案など、おもに法人・相続領域の税務・コンサルタント業務に約20年従事。その他資金調達ならびに創業融資支援を得意とする。