2019.8.1
資産運用

確定拠出年金加入者の離職・転職に伴うポータビリティとは

(画像=Romolo Tavani/Shutterstock.com)
(画像=Romolo Tavani/Shutterstock.com)
2019年に入ってから「老後生活資金が2,000万円不足する」といった問題が浮上し、政争の具として扱われています。老後の生活資金は、各世帯のライフスタイルによってまちまちです。そのため、2,000万円という数字が独り歩きしてしまった感は拭えないでしょう。実際に年金制度は本当になくなってしまうのでしょうか。今回は、確定拠出年金加入者の離職や転職に伴うポータビリティなどについて解説します。

年金制度は一体どうなっていくのか

公的年金制度に明るい未来を描いている人は少ないでしょう。絶対とはいえませんが以下の2点に関しては、実際に起こる確率は高いかもしれません。

・公的年金制度はなくなる可能性は低い
公的年金は、「老齢年金」「障害年金」「遺族年金」といった3つの側面があります。年金制度の是非についてはさまざまなことがいわれています。しかし、年金制度自体が改正されることはあってもなくなってしまうということは考えられません。なぜなら、公的年金は老後のためだけではなく「障害やパートナーが亡くなったときの保障」という役割も担っているからです。

・今より受給できる金額が少なくなり、受給開始年齢も後ろ倒しになる
年金制度は周知の通り、現役世代が払い込んだ掛け金を受給世代に渡す賦課方式をとっています。少子高齢化が進むので、「自分の掛け金が数十年間運用されて戻ってくる」という積立方式では運用が困難です。そのため、「年金制度を支え得る世代を増やすか」「年金をもらう人やもらう金額が少なくなるか」ということで調整する必要があります。

現実的に、少子化はすぐに解消できるものではありませんので、受給者の受取開始年齢が70歳、75歳と後ろ倒しになったり、受け取る年金額が少なくなったりする可能性のほうが高いでしょう。そこで、自助努力をして、現役世代から人生の3大資金といわれる老後資金を貯める必要性があるわけです。これは、最近になっていわれたことでなく、余裕ある老後生活をおくるためにもその準備が必要だと宣伝されていました。その最強といわれる方法が、iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)制度です。

公的年金制度との組み合わせ

iDeCo(イデコ)で個人の拠出する掛け金は、各職種の拠出限度額内で任意に決定できます。ただし、「貯蓄」ではなくあくまで「年金」ですから原則60歳以降でないと引き出しができません。そこで、「掛け金をいくらにすべきか」は、公的年金を主軸にそれを補完するイメージで決定したほうがよいでしょう。子供の教育費の負担感が高い時期や住宅ローン支払いと重なる時期もありますから、ライフプランも踏まえたうえで決めたいものです。

公的年金には、老齢基礎年金と老齢厚生年金があります。老齢基礎年金は、国民年金に原則として25年以上(2017年8月1日以降は10年以上)加入した人が65歳から受ける日本に住所があるすべての人に共通した年金です。すべての人の基礎部分となりますので、よく1階部分になぞらえられます。年金額は20~60歳まで40年加入した人が満額となり、加入年月がそれに満たない人はその期間に応じて減額されます。

受給開始時期は、本人の希望により60~65歳に達するまでの間に繰り上げたり、66歳以降70歳になるまで繰り下げたりすることが可能です。老齢厚生年金は、厚生年金に加入していた人が老齢厚生年金の受給資格機関を満たしたときに65歳から老齢基礎年金に上乗せされて受け取る年金です。基礎年金に上乗せされますので、2階部分になぞらえられます。

計算式は、「平均標準報酬月額×給付乗率×加入月数」に物価スライド率を乗じて得た金額です。

離職・転職したときに年金資産はどうなるか

iDeCo(イデコ)は、個人の勘定別に資産管理がされていますので、離職・転職した場合でも制度を継続することが可能です。これをポータビリティ制度といいます。昭和や平成時代とは異なり、令和の時代は転職することが珍しくない時代になっていきますので、時代のニーズから生まれてきた制度といえるでしょう。

法改正により2005年10月から、厚生年金基金・確定給付企業年金(DB)間および厚生年金基金などから確定拠出年金(企業型・個人型)への資産移管が可能となり、ポータビリティは充実しました。さらに、2018年5月より確定拠出年金から確定給付企業年金や中小企業退職金共済への移管もできるようになりました。

結婚・退職等で収入がなくなったとき年金資産はどうなるか

前述の通り、確定拠出年金の受給は60歳以降の受給開始年齢以降か、加入者の死亡、高度障害の場合は、一時金もしくは年金として受け取ることができます。一方、「収入がなくなった」「生活が困窮した」といった場合、給付を受けることは原則できません(脱退一時金の支給を受ける場合は除きます)。第3号被保険者になった場合(専業主婦・主夫)になった場合でも、個人口座を使って継続して掛け金を拠出できますし、拠出を止めて運用指図のみすることも可能です。

iDeCoをうまく利用して税制優遇のメリットを享受しよう

公的年金にプラスして、民間保険会社が提供する個人年金、そして企業型確定拠出年金、個人型確定拠出年金などに加入しながら老後資金を準備するのは、非常に大切といえるでしょう。何より税制の優遇を受けられるため、複利で長期間運用すればするほど大きなメリットになるのです。国から見ると、取れる税金を放棄してまで確定拠出年金制度を作ったわけですから、その裏にあるメッセージを読み取りながら、個人でうまく活用すべき制度といえるのではないでしょうか。

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