「疾病に備える住まい」、不動産相場動かすか

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9日の経済報道テレビ、日経CNBCで興味深いテーマが取り上げられたので共有します。「医師分布が健康寿命を左右するか」という内容です。これ、ワンルームマンションはじめ不動産価格に直結する要因でもあります。動画は下記サイトより無料閲覧が可能なのでぜひご視聴いただきたいのですが、きょうは医師偏在という聞きなれない言葉と不動産市場について少し探ってみたいと思います。

拙著「幸福寿命を延ばすマネーの新常識」でも言及しましたが、健康寿命を延ばす多くの要因は「見えざる価値」です。その1つが「住まい」の力ですね。私が昨年秋に太陽光発電を設置したことはこのコーナーでもお伝えしました。災害に強くなるためです。

そして、もうひとつは「疾病に備える力」です。図は医師偏在指標の全国分布を色分けしたものです。厚労省が、全国の「医師の偏り」を可視化するため、都道府県や二次医療圏ごとに算出しています。単純な医師数÷人口、ではなく、地域の実際の医療ニーズや医師の労働時間を反映しており、医師の過不足の実感が出るように工夫されています。

で、図のとおりなのですが、医師あるいは診療所・病院というのは全国に均等にかつ満遍なく広がっていると思ったらまったく違います。私もこの動画で学んだのですが、医師が相対的に集中しているのは都心部で、山間部やローカルほど医師不在、と思ったらそんな単純なものではなかったのです。

医師が集中している都道府県1位は東京――は予見できるとして、2位が京都、3位が福岡。さらに岡山、沖縄と続きました。納得したのは東京だけ笑。いちばん、驚いたのは都心エリアである埼玉、千葉が不足上位に顔を出したことです。人口が多いのか、相対的に高齢者が多いのか、背景がなかなか見えにくい。

うちのせがれも1年間ほど大島に勤務していたときがあり、たまにドクターヘリで東京都立多摩総合医療センターに患者さんを救急搬送していました。大島は外科設備があるので大丈夫ですが、とにかく近隣に救急医療体制が整っていないと高齢者はまずい状況に追い込まれます。

高齢者は心疾患や脳疾患だけが寿命を縮める要因ではないのです。むしろ、転倒による骨折やケガ、あるいは熱中症、はたまた風邪から由来する肺炎など日常的な要因で、救急リスクにさらされるのだということを忘れてはいけません。

超高齢社会で晩年はどのような住まいを選ぶべきか、それはエリア内に診療所のほか、救急医療を受け付ける中堅クラス以上の病院があることです。

介護施設や保険は次の次にお世話になる話です。まずは非常事態に生命を守るための「住まい」こそが寿命のカギを左右することをお忘れなきよう。

この観点に立つと高齢者の需要もランキング上位3地域ぐらいに「偏在」が進むかもしれません。たしかに京都は賃貸需要が旺盛ですし、物件も流動的です。博多もしかり。人口集中は結果的に投資マンション全体の需給ひっ迫にもつながります。

まあ、医療だけではなく、これから教育からゴミ回収まで行政サービスそのものも市町村中心部に「縮み」が加速します。現に学校はあまたの統廃合がすでに実行されています。医師偏在もまた、賃貸不動産相場を動かす近未来要因としてさらに影響力を増していくとみられます。

【参考動画】https://online.nikkei-cnbc.co.jp/vod/65982

著者・監修者プロフィール

田中彰一 (たなかあきかず)
田中彰一 (たなかあきかず)
日本経済新聞社 コンテンツプロデューサ-兼アセットリード物件オーナー

●1989 年入社、証券部配属。東証や日銀、NY駐在など主に金融・資本市場担当。
BSテレビ東京「日経モーニングプラスFT」、日経CNBC「昼エクスプレス」コメンテーター
テレビ解説のほか日経電子版開発、コラム執筆など「話す」「創る」「書く」の三刀流をこなす。
CFP®、1種証券外務員、シニアプライベートバンカー、宅地建物取引士。
●奈良出身。趣味は世界遺産巡り(現在43カ国・地域歴訪)、大型バイク、ドローン、ゲーム、競馬
●最新刊「50 代から輝く!『幸福寿命』を延ばすマネーの新常識」(日経出版社)など著書多数。