不動産投資を行う場合、通常は金融機関から融資を受けレバレッジを掛けて投資を行います。そのときに検討する保険が、団体信用生命保険です。これは金融機関側からすると融資を受けている個人が亡くなった場合、生命保険会社から残債を受け取る仕組みです。以下、不動産オーナーに生命保険は必要かどうかを考察していきましょう。
団体信用保険の存在
マンションや戸建て住宅購入時にローンを組むとき、団体信用生命保険がセットでついてくるケースが大部分です。もし付帯しなくても民間保険会社で死亡保険に入ることになります。仮に債務者である夫が病気や事故でなくなったり所定の障害状態になったりしたとき、団体信用生命保険でローンを完済できるため、遺族からするとある意味なくてはならない保険といえるでしょう。
自宅用の団体信用生命保険料は、ローン残高と比例します。したがってローン返済が進み、残高が減っていくと団体信用生命保険料も減少傾向です。住宅ローンの代表ともいえる「フラット35」の場合、2017年10月からの新規申し込みから、新機構団体生命付住宅ローンが主流となり、身体障害保障、介護保障などが新たにカバーされました。
例えば新3大疾病付機構団信の場合、新機構団信付フラット35の金利に0.24%の金利が上乗せされます。
アパート・マンションオーナーに団体信用保険は必要か
では本題の不動産オーナーの場合、「団体信用生命保険に加入する必要があるかどうか」を考えていきましょう。金融機関から融資を受けてアパート建築したり区分所有物件を購入したりする場合、通常は団体信用生命保険に加入するかどうかは、あくまで任意です。例えば高齢者のオーナーが、債務控除で資産圧縮し相続税対策をしている場合、亡くなった時点でローンが残っていることに意味があります。
そのためこのケースではあえて団体信用生命保険には加入しません。まだオーナーの年齢が若く、万が一のことがあった場合、遺族に債務が相続されることが不安だと感じられる人は、加入を検討しましょう。別の視点で考えると家賃収入が安定して入ってくれば、それが今後の生活費のプラスになるという考え方もできます。
また団体信用生命保険に加入し、万が一のとき残債がなくなり、継続してその物件からの家賃収入が入ってくれば、「その物件そのものが生命保険代わりになる」という考え方もできるでしょう。物件の使い方は2つあります。1つ目は家賃収入を収入保障保険として将来の生活費の補償に当てる考え方、2つ目は、物件を売却して、そのお金を死亡保険金として得るという考え方です。
「どちらが良いのか」という判断は、物件の築年数や立地などにより総合的に判断することになりますが、不動産投資で資産形成を考える場合は、物件ごとに団体信用生命保険へ加入することをおすすめします。それによって通常の生命保険に加入することなく、万が一のときは無借金の収益物件を遺族へ残すことが可能です。
生命保険としての役割は団信でカバーできる不動産オーナーにおすすめする「共済」
アパート・マンションオーナーが団信に加入していれば、オーナーが亡くなった時、ご家族には残債のないアパート、マンションが残ります。
このほかに保険でカバーしておけばさらに安心なのが相続税の納税資金です。民間の終身保険タイプの生命保険は、相続税の納税資金確保に有効です。スムーズな納税のために生命保険を活用する方法はよく用いられます。そのとき注意すべき点は、「保険料支払者」「被保険者」「保険金受取人」を誰にするかが重要です。これを間違えると、かかってくる税金が異なるため相続税対策として加入した保険が意味のないものになってしまいます。もし最小の負担で生命保険に加入する場合、おすすめなのは「こくみん共済coop」です。2019年6月から全労済が「こくみん共済coop」と愛称を変え、リニューアルされました。共済は民間の保険と比べ保険料(共済料)が安価な傾向があり、検討をおすすめします。
また、団信にプラスして、さらに手厚く「子供が小さいので家族を守るために保険に加入しておきたい」と考える場合、同じく共済なら安価なコストでカバー可能です。「こくみん共済coop」に加え、「都道府県民共済」「CO・OP共済」と、それぞれに加入すれば補償を厚くすることができます。紛らわしいのですが、「こくみん共済coop」と「CO・OP共済」は別組織です。物件自体の保険も共済を活用するという選択肢としてあげられます。
また、共済は建物の保険としても活用できます。例えば火災共済+自然災害共済の組み合わせで、火災や積雪、台風などの自然災害に対応することも可能です。このように手ごろな掛け金で必要最低限の保障をカバーする共済をうまく使うことで、不動産投資に関する保険コストを上手に節約することを一度検討してみてはいかがでしょうか。
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