地方か都心か。取れるリスクと資産価値による投資戦略とは

不動産投資

投資対象としての不動産を考える際、まず考えることが、「どのような物件を買うか」ということではないでしょうか。投資対象として、「マンションの区分所有か」「木造・RCの一棟物か」、その立地として、「地方物件か」「都心の物件か」ということが重要なポイントです。以下に、地方の物件と都心の物件の特徴をあげ、「投資対象としてご自身のスタイルでどちらが合致するのか」について考察していきます。

地方物件の特徴

一般的には、都心物件と比較し賃貸需要は弱く、入居率が低い分、価格を下げて販売されるケースが多く、表面的な利回りは高い傾向があります。また、今後の人口動態としても、地方の方が人口減少の度合いが高いといえるでしょう。言い換えると場所によっては空室リスクとなる可能性が高くなるということです。所有物件の近くに工場や大学がある場合などは安定した入居率を維持できるケースもありますが、1つの施設に頼った賃貸経営は大きなリスクを孕んでいる状態といえます。大学は少子化の影響から地方や郊外での生徒数確保が年々難しくなっており、都心回帰の流れがあります。物件の近くに大学があり、その大学の生徒をターゲットに賃貸経営している場合、大学そのものが移転してしまえば、入居者が激減するでしょう。
また、「地方」と一括りにすると「入居率が低い」といわれますが、実際には地方の中でも需要の安定しているエリアもあります。「地方だから空室リスクが高い」と直結的に考えるのではなく、きちんとエリアマーケティングを実施すれば、価格が安い(利回りが高い)分、高い収益を得る可能性があるのも地方物件の特徴です。

都心物件の特徴

地方物件と比べて利回りが低い傾向ですが、人口減少のスピードは地方に比べて緩やかといえます。また、総世帯数は単身世帯を中心に増加傾向にあります。オリンピック以降も再開発計画が目白押しで、東京圏への一極集中も加速しており、資産としての価値を維持しやすいことが特徴です。ここ数年は地価も上昇してきており、キャピタルゲインを得るケースも多いようです。都心物件のメリットは家賃の底堅さと入居率、資産性の高さです。サラリーマンが手間をかけずに安定した賃貸経営を行い、長期的な資産の形成をするには向いているかもしれません。

特徴を生かした運営・管理

地方物件と都心物件の特徴から考えると、「表面的な利回りを取るか」「稼働率を取るか」ということになります。もし、投資家としてのスキルが高く、かつ時間をかけることが出来る状況で、購入物件に付加価値をつけたり、きちんと管理することができれば、地方物件はとても面白い投資対象となるでしょう。

その一例として、東京オリンピックのサーフィンの競技会場になった千葉県長生郡一宮町には、サーファー用の物件があります。そこにはボード置き場、海岸から直接入れるようにシャワー施設、などが用意され、活況を呈しているようです。このように地方の物件は、その地域の特徴に合わせてさまざまな工夫をすることにより、賃借人を集めることもできます。その結果、空室リスクを抑えることもできるでしょう。

その一方、サラリーマンをはじめ、本業が忙しい方など、不動産投資の時間が全く取れず、管理も完全におまかせという方には、都心の投資物件がおすすめです。なぜなら、都会では、不動産仲介業者、特に投資物件に特化した専門的な仲介業者や管理会社が、比較的容易に見つけやすく、賃貸需要も旺盛だからです。
改めて整理すると、表面利回りは地方物件の方が高いですが、表面利回りはあくまでも「満室だった場合」での得られる家賃収入で算出されます。実際には都心と地方では空室期間が大きく異なります。表面的な利回りではなく実際の入居状況を踏まえた稼働率で考えることが重要です。

さらに、当然のことですが、地方と都心の大きな違いは地価となります。その物件の地価は「人が集まるかどうか」で基本的には決まってきます。「人が集まるので家賃も高く取れる」「人が少ないところは、地価が安くなる」という普遍的な法則です。不動産投資は物件保有時の家賃収入(インカムゲイン)と売却益/損(キャピタルゲイン/ロス)の合算で考える必要があります。都心部の地価は上昇傾向ですが、地方は引き続き下落傾向です。コンパクトシティ構想も一般的になってきており、今後、人口減少が激しい自治体は生活インフラの維持が難しくなるエリアもあるでしょう。もし表面的な利回りだけに惹かれ、将来的に人が住まないエリアになってしまった場合、売却することも難しくなることもあります。地方の産業が廃れてくると、仕事を求め、都心部への人口流入はさらに加速します。人口が増加するエリアの土地は高い価値を維持することでしょう。

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アセットONLINE編集部
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