不動産投資では、物件を取得するまでは、手間も時間もかかる半面、信頼できる管理会社を見つけて、管理業務を任せてしまえば、そのあとはオーナーのやるべきことは少なく、運用も安定するといわれています。それはなぜなのでしょうか。
自己管理の場合、しなければならないこと
もし、運営のすべてを自己管理でオーナーが行う場合、確かに管理費用は抑えられますが、膨大な時間と手間がかかります。まず、入居者と直接やりとりすることになるでしょう。入居希望者の応対、騒音やゴミ処理などのクレーム対応、家賃滞納者への督促、入退去時の対応などがあります。不良な入居者の対応は、とても骨の折れる仕事です。
不動産投資は入居者の生活の基本部分である「住居」を扱うことになります。「お湯が出ない」「エアコンが効かない」「鍵をなくした」など、非常時の対応も加えれば、遠方に長期旅行をして留守にするときも気になってしまうかもしれません。
また、問題をカバーしきれず、不手際をすれば、入居者の不満を招き、評判が悪くなれば、入居者が付きにくくなることも考えられます。
費用を払えば管理を委託できる
一定の委託管理費用を払えば、こうした業務をすべて代行してくれるのが管理会社です。彼らは、問題点の存在を見つけ次第、改善点とともに書面にまとめて報告してくれます。また、オーナーが運営で困ったときや迷ったときに、プロの立場から適切なアドバイスをくれる頼れる存在です。彼らと良好な関係を保ちながら、安定的な賃貸経営を目指すならば、最初からきちんと投資の目的を説明して、協力してもらえるような体制を取りましょう。
中長期での賃貸経営を考えているならば、資産価値を維持しながら、家賃アップにつながるようなリフォームや修繕などの提案をしてくれる管理会社もあるでしょう。入居率が高まれば、収入が増えますし、無駄な支出が減れば、投資は安定します。オーナーのニーズを明確にして、管理会社がどこまで応えてくれるのかも、同時にはっきりさせておけば、きっと良い選択ができるはずです。
費用は管理会社によってそれぞれですが、賃料の5%が相場とされています。これで全ての管理業務を請け負う会社もあれば、毎月の手数料は安いけれども、個別の業務ごとに費用が発生したり、契約更新料などの名目で費用が請求されたりするケースもあるようです。
管理会社を選ぶポイント
優秀な管理会社なら、物件の資産価値を維持して、経営面で大きな利益をもたらしてくれます。それでは、優秀な管理会社を見つけるにはどうすればいいのでしょうか。まず、経営が安定していて良心的な会社かどうかを調べましょう。地域への密着度、取り扱い戸数、(わかる範囲での)社員の離職率の低さ、空室時には賃貸ポータルサイトへきちんと物件情報を掲載しているかどうかなども大事なポイントです。
そして、複数の候補会社から選ぶようにしましょう。3~4社を比較すれば、違いが分かるはずです。また、管理会社には管理を専門にしている会社と、賃貸仲介部門も持っている会社があります。管理専門の場合、他の賃貸仲介会社と太いパイプがある場合は話が別ですが、賃貸仲介部門を持っている管理会社のほうが、急な退去者にもワンストップで対応してもらえるので、何かと心強いでしょう。
なお、管理会社の中にはリフォームを請け負う会社もあります。物件を知り尽くしていることがリフォームに生かされるケースもあるようです。
また、建築、販売、管理までワンストップでサービス提供している会社もあります。販売して終わりではなく、管理まできちんと対応してくれる会社はサラリーマンの資産形成としての不動産投資には助かる存在です。
入居者確保が最重要課題
日本社会の人口減少が始まりました。総務省の「平成25年住宅・土地統計調査」によると、持ち家世帯率は30代で急上昇し、40代に入ると5割超になります。裏を返せば、賃貸物件を主に利用しているのは20代から30代前半ということです。ところが、国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口(平成29年推計)報告書」によると、2015年の18~34歳の人口は約2,245万人です。
しかし、10年後の2025年には約2,034万人、20年後の2035年には約1,856万人、30年後の2045年には約1,638万人と、減少する予測が出ています。東京に関しては多くのエリアで再開発計画が進み、ますます一極集中が進むでしょう。特に単身者の流入は今後も継続することが見込まれており、物件選定では単身者をターゲットにするのが得策かもしれません。
全国的には人口減少に伴い、今後、さらに厳しく入居者を奪い合う時代がくるかもしれません。そのとき、適切な管理で物件の資産価値を維持しつつ、入居者確保に最善を尽くしてくれる管理会社こそが、あなたの味方なのです。管理会社選びが不動産投資の最重要ポイントになることを、ぜひ覚えておきましょう。
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