10月27日の東京株式市場で日経平均株価が1212円67銭(2.46%)高の5万0512円32銭と、史上初めて5万円の大台に乗せました。米利下げ観測やAI市場拡大などを背景とした世界的な株高基調に加えて、高市早苗内閣の経済政策「サナエノミクス」への期待が背中を押したといえます。日本経済新聞社とテレビ東京が24〜26日に実施した世論調査によると高市内閣の支持率は74%。少数与党で政策調整・推進に苦労するどころか、これほどの高い支持率であれば解散総選挙でも圧勝しますし、政権運営にプラスになると市場で受け止められたようです。 日経平均株価が3万8915円のバブル後高値を35年ぶりに更新し、4万円に乗せたのは昨年でしたっけ? まさか1年あまりで次の節目を抜けるとはにわかに信じがたいです。

さて、株価がこうも高くなって投資対象としての不動産にはどう影響がでるでしょうか?
金利高など経済的教科書的な理屈を抜きにすると当然、大いにプラスでしょう。理由は2つ①個人の投資余力が拡大②相続対策として不動産妙味が向上――するからです。
「億り人」と言われるような富裕層もたいてい一部を投資不動産として保有しています。少し学べばわかりますが、株式など金融資産だけですと高い相続税を払う羽目になりますから一定量を賃貸不動産に振り替えるのです。
なので、この点はいまのアセットリード物件のオーナーは喜んでよいと思うのですけど、問題はそもそも5万円が定着するかどうかーー、言い換えると株高がホンモノかどうかです。不動産価格と異なり、株価はニセモノの場合がたいへん多いのです笑
高市ラリーの要因の90%以上は政権の行方に対する期待です。企業の実力(業績)が伴ってこないと期待は次第に剥落します。先週「国力研究」(高市早苗著・産経新聞出版)を読んでサナエノミクスをしつこく勉強しました。このひと、歴代総理でいちばん書籍を書いておられますね。しかも論旨明解。支持率も高いことで長期政権になれば政策実現期待は高まるでしょうが、足元の株高はあまりに急で期待過大と言わざるを得ないようにみえます。
28日予定の「高市―トランプ」会談はイケイケムードになるかもしれないですが、私は今週からの上場企業の中間決算のほうが実力を診断するうえで重要だとみています。
著者・監修者プロフィール

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日本経済新聞社 コンテンツプロデューサ-兼アセットリード物件オーナー
●1989 年入社、証券部配属。東証や日銀、NY駐在など主に金融・資本市場担当。
BSテレビ東京「日経モーニングプラスFT」、日経CNBC「昼エクスプレス」コメンテーター
テレビ解説のほか日経電子版開発、コラム執筆など「話す」「創る」「書く」の三刀流をこなす。
CFP®、1種証券外務員、シニアプライベートバンカー、宅地建物取引士。
●奈良出身。趣味は世界遺産巡り(現在43カ国・地域歴訪)、大型バイク、ドローン、ゲーム、競馬
●最新刊「50 代から輝く!『幸福寿命』を延ばすマネーの新常識」(日経出版社)など著書多数。

