2019.8.8
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住宅ローンで不動産投資 これが「アウト」と「セーフ」の境目だ

(画像=Andrii Yalanskyi/Shutterstock.com)
(画像=Andrii Yalanskyi/Shutterstock.com)
2019年5月、石井啓一国土交通大臣の会見において、住宅ローンのフラット35が不動産投資に利用されている疑いがあることが発表されました(2019年6月18日時点で調査中)。「なぜ住宅ローンで不動産投資をしてはいけないのか」と疑問に思う人もいるかもしれません。住宅ローンで不動産投資をするとどうなるのか、また、することが許されるケースはあるのでしょうか。

なぜ住宅ローンで不動産投資をしてはいけないのか

住宅ローンで不動産投資をしてはいけない理由をシンプルに答えると、「住宅ローンは住宅用のローンだから」です。

住宅ローンの金利は、他に類を見ないほど低く設定されています。一方で使途自由のフリーローンは、利息制限法の上限金利である15%(借り入れ額が100万円以上の場合)に達することもあります。しかし住宅ローンはプライムレート(その金融機関における最優遇金利)の+1%程度という、個人向け融資としてはかなり低金利の商品です。そのうえ資産や収入が平均と比べてそれほど高くない人でも、数千万円というレベルのローンを組むことができます。

住宅ローンが優遇されているのは、購入するものが生活に欠かせない住居だからです。賃金が簡単には上がらないこの時代に、もしも住宅ローンの金利が10%だったら、家を買える人はほとんどいなくなってしまうでしょう。そうなると不動産市場は大きな打撃を受けますし、金融機関も住宅ローンの融資業務ができなくなってしまいます。

そのため、住宅ローンは借り入れ条件や制度(住宅ローン控除やすまい給付金など)の面で優遇されているのです。

一方、不動産投資ローンは事業用のローンなので、金融機関としては賃貸事業が行き詰まるリスクを考慮して、(住宅ローンと比較すると)金利を高めに設定する必要があります。その他にも借入上限額や借入期間など、さまざまな条件が不動産投資向けに作られています。

もしも有利な条件である住宅ローンで不動産投資をすることができるようになると、誰も不動産投資ローンを利用しなくなるでしょう。そうなると、金融機関はリスクに見合った貸し付けができなくなります。そのため、不動産投資に住宅ローンを使うことは禁じられているのです。

賃貸併用住宅なら条件付きで住宅ローンが使える

住宅ローンを住宅購入やリフォーム以外の用途に使うことは契約違反です。このことが金融機関にバレると、一括返済を迫られるリスクがあります。もしかすると、見て見ぬふりをする銀行員もいるかもしれませんが、契約書で禁止されていることをしてしまったら、当然「アウト」です。

では、住宅ローンで購入した住居を貸して家賃収入を得るケースは、すべてが契約違反になるのでしょうか。契約で認められた「物件」か、「事情がある」のであれば、契約違反にはなりません。

住宅ローンで購入した住居を貸して、家賃収入を得るパターンは主に2つあります。

1つ目は賃貸併用住宅です。建物の一部に自分が住み、他の部分を他人に貸すタイプの物件であれば、約款に定められた範囲で認められます。多くの金融機関は、自己居住用部分の床面積が建物全体の半分以上であることを条件にしています。この場合、例えば計6戸の賃貸併用住宅のうち、1階にある120平方メートルの4LDKに自分が住み、2階にある20平方メートルのワンルーム5戸を賃貸する、ということが住宅ローンを使ってできるわけです。

2つ目のパターンは、やむを得ない理由があり、金融機関の承諾を得たうえで賃貸に回すケースです。例えば転勤で家族全員が引っ越す場合、戻ってくるまで住居を貸すという状況が考えられます。

このように、住宅ローンを利用した不動産投資は、事前に金融機関の承認があれば「セーフ」、なければ基本的に「アウト」となります。

住宅ローンを使って不動産投資をするメリット

前述のとおり、住宅ローンは低金利で借りることができ、審査基準も比較的緩いです。よって、活用できれば不動産投資を有利に進められます。

ただし、賃貸併用住宅の場合は住宅ローン控除は居住部分に関する融資残高のみに適用されるので、注意が必要です。

金融機関に隠れてするから「アウト」になる

住宅ローンで不動産投資をできるパターンは、主に2つあります。賃貸併用住宅の場合と転勤などのやむを得ない場合です。後者はコントロールできませんが、賃貸併用住宅は自分の意思で始めることができます。ただし条件があり、一般的には賃貸部分の床面積が、居住部分のそれを超えてはいけません。いずれの場合にしても、確実に「セーフ」にするためには、ローン契約前か賃貸を開始する前に金融機関の承認を得ておく必要があります。

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