不動産投資に取り組む場合、区分マンションや1棟マンション、戸建てなど様々な投資対象と種類がありますが、1つの大きな「括り」として新築と中古の違いがあります。その中で、新築物件投資には避けて通ることのできない「新築プレミアム」という概念があります。新築プレミアムは物件購入のコストと考えることができ、これを考慮しないことには収支を見誤ってしまう可能性すらあるでしょう。そのため「言葉を聞いたことがある程度」「言葉自体を初めて聞いた」という人は、ぜひこの機会に新築プレミアムを理解しておきましょう。
新築プレミアムとは?平均的な相場とは?
新築プレミアムのプレミアムとは、直訳すると「上乗せ金」のような意味合いです。つまり新築プレミアムとは、新築物件だけに上乗せされ価格決定に影響を与えるお金といえます。一般的に新築プレミアムは、物件価格の1~3割程度というのが相場です。例えば5,000万円の新築物件で最大の3割の新築プレミアムだった場合は、1,500万円程度が上乗せになるため、決して看過できないレベルといえるでしょう。
新築プレミアムがある理由
なぜ新築プレミアムという概念および価格差があるのでしょうか。そこには、私たち日本人の価値観が深く関わっています。日本人は伝統的にどんなものでも新品であることに、とりわけ高い価値を見出す傾向があります。これは不動産に準ずる高額商品の車でも同様で新車と中古車はそれぞれにまったく別の市場で流通しています。そのため「新車は高く、中古車は安い」というのが常識です。
不動産や車が一度でも誰かの所有物になると、「手垢がついた」という表現もあるように、すでに新品の価値はないと見なされます。これは、たとえ1ヵ月程度しか所有していなくても関係ありません。そのため、一度中古市場で流通したものが2番目、3番目のオーナーへとわたっていく際には、新品によるプレミアム価格が反映されていない相場通りの価格が適用されます。
これだけを見ると新築プレミアムは購入者にとって不利な価格決定プロセスであるように感じるかもしれませんが、新築物件には入居者にとっても特別な価値があるため、家賃を高めに設定できるというメリットもあるのです。
新築プレミアムを考慮した不動産投資のあるべき姿
それでは新築物件投資を始めるにあたって新築プレミアムを意識したうえで投資を成功へ導くには、どうしたほうがよいのでしょうか。新築プレミアムはデメリットと見なす場合が多いです。しかし新築物件にはそれ以外のデメリットがあまりなく、むしろメリットが多いことにも着目するべきでしょう。
そのメリットをうまく活かし新築プレミアムを克服できる不動産投資の形を作れば「トータルで成功する」という考え方です。少々家賃が高くても誰も入居したことがない新築物件に住みたい人はたくさんいます。「購入価格の上昇分を高めの家賃設定でカバー」「新築が持つ空室リスクの低さを味方につけて利回りを確保する」などのスタンスで取り組めば、新築物件のメリットを最大化できるでしょう。
また新築物件は融資がつきやすいため、属性の高い人であれば新築であることを活かして、より有利な条件を引き出すことも視野に入ります。さらにこれは見えにくいポイントですが、新築物件は「その時点で最新の設備が使用されている」「耐震性能の高さによる地震リスクの低さ」なども大きなメリットといえるでしょう。
中古物件は購入価格こそ抑えられるかもしれませんが、メンテナンスや大規模改修など購入後のコストがかさむ可能性は十分にあります。新築物件投資には例に挙げたように多くのメリットもあるため、新築プレミアムの分をカバーできる余地は十分にあるのです。それをいかに味方につけるかが、新築プレミアムを考慮した不動産投資のあるべき姿といえるでしょう。
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