ビジネス力・投資力を確実に底上げする「標準言語」

マーケット

 仕事ができるようになりたい、投資で成功したいーーほとんどのひとが一度はこう思ったのではないかと思います。今回はその「解」を取り上げます。
 アスリートの基本はなんでしょうか?サッカーやラグビーを思い浮かべてください。ボールを投げたり、作戦を組み立てたりすることも重要ですが、そういう技術より、じつは足腰・内臓など基礎的な運動能力・心肺機能にあります。世界最高峰の野球技術を持つ大谷翔平選手がひじやひざのけがで離脱していることを考えると論を俟たないでしょう。
 翻って、仕事や投資など実社会で役に立つ基礎力とはなんでしょうか?
 答えは「会計力」です。
 会計??地味、小難しい、実務、面倒ーー。多数のひとのつぶやきが聞こえてきます。なぜなら私も昔、同じことを考えていたからです。実際、日本経済新聞記者のような経済のプロ集団でも会計・財務をマスターしている記者は1割いるかいないか、です。
 まず、ここでいう会計とは借方、貸方や簿記などの経理処理とは違います。ビジネスや投資など「お金」の全体像を解剖できるスキルだと考えてください。
 お金の所在や流れを財務諸表の形に落とし込める力を養うことで、さながら先ほどのアスリートの足腰同様に、いくつもの波及効果が生まれるのです。
 まず①上司や上長とビジネスを深く広く話せるようになります。ビジネスを定量的に解剖できるのですから当然です。②日本経済新聞や日経電子版の「小難しい?」ミクロ記事も消化できるようになり、情報収集力が格段にアップします。③自分の企業の経営診断ができるからマネジャーに「モノ申す」ことができるようになります。④現場での仕事の質がツーランク、アップします。営業先の新規開拓や購買など契約・取引先の拡大には必ず「どんな会社だ?」という審査が必要です。上場企業は通常与信審査もやりますが、信用診断が自力で可能になります。⑤プロジェクトを任されたり、新規企画を立ち上げたりする際に失敗・成功の予測シナリオを定量的に描けるようになります。
 AIに任せるから大丈夫? 本末転倒です!
 AIはハルシネーション(ウソ)の塊。私も日常的に使いますが、じつにいい加減です。機械的作業を任せられるのでデータ作成は得意ですが、結局プロンプト作成力・データ読解力が求められます。AI時代でこそ「会計脳」が必要になる時代なのです。


 財務諸表は財務や経理に必要なデータ、というのはそうなのですが、そもそもはビジネスパーソンであれば全員が理解していないといけない「標準言語」なのです。

人間ドックの診断書≒バランスシート

 財務諸表を攻略しようとして多くのひとが挫折します。理由の1つが簿記処理など経理の実務のアプローチに寄るからです。専門技術的な語彙が羅列するけれど、自分のビジネスとはあまりに距離があって「ほんとうにこんな知識役立つのかな」と遠く感じます。第2に難しいことを難しく書かれている書籍のわかりにくさ。税理士や公認会計士など専門家が執筆するためです。専門家の水準で消化するレベルで一般ビジネスパーソンに説いても頭に入ってこない、だから拒絶アレルギー反応を起こすという流れになるのは無理からぬことでしょう。
 第3に会計を知らなくてもなんとかなる、からです。不動産業界でいえば別に会計知識なくても「不動産は売れる」「不動産情報はわかる」「不動産を買える」「不動産でもうかる」――わけで、財務諸表を分析しないといけないというトリガーが見当たりません。
 事ほど左様に会計をあいまいに知らないまま放置して40代、50代に至るわけですね。
 財務諸表は3種類のデータをマスターすることから始まります。まずはつながり方をしっかり理解することです。

 一番大事なのはバランスシートです。ある一定時点の財政状態を示します。すべての財務管理の出発点です。ほとんどのひとが「損益計算書」からスタートしますが間違いです。まあ、そのほうが理解しやすいので便宜上は損益計算書からスタートしますけどね。
 バランスシートとバランスシートの1年間の差分が損益計算書です。1年間でバランスシートは成長したり、強く(筋肉質に)なったりするわけですが、この変化をわかりやすく表示したのが損益計算書です。人間の身体にたとえると、人間ドックの受診結果がバランスシート(私の場合、劣化が目立っていますけど)です。人間ドックの定点観測だけで良い悪いが判別しにくい面があります。私の場合、コレステロールが高く加療が必要ですが、大事なのは前回より良くなったか、悪くなったか。変化を読み取ることが必要ですが、これが損益計算書に該当します。

「不動産投資」「REIT分析」にも役立つ

 アセットリードの関係者や物件オーナーは不動産投資にはさて、どう関係あるのか、と思う方もおられるでしょう。大ありです。何度も申し上げますが、「会計」はビジネスパーソンや投資家の「標準言語」です。英語を学んだおかげで海外旅行ではすごく役に立つでしょう?それは標準言語だからです。逆に海外で日本語は役に立ちません。


 ではちらっと不動産と会計の関係をみていきましょう。不動産は立派な現物資産です。バランスシートでいえば左列の項目に入ります。説明が前後しますが、資産はお金の使途(使い道)です。右列の負債と純資産はお金の調達先をまとめます。
 オーナーさんの多くは不動産購入のために投資ローンを引っ張ってきているはずです。そこでローンは負債の部に、そして頭金と返済済みの評価額を純資産に記入します。理屈のうえでは資産=負債+純資産、になりますよね。
 この仕組みをきちんとわかっているとREIT(不動産投資信託)の市況も理解できるようになります。REITは大きく売られ、9月18日時点で上場する全銘柄が簿価よりも時価評価が低いという異常な状況に追い込まれています。


 バランスシートに置き換えるとREITの保有物件全体の資産価値を左側に記入するのですが、REITの純資産が理論値よりかなり低い状態になっていることがうかがえます。発行している投資口で割ると10000円の不動産をたとえば8000円で買えるような状況になっているわけです。
 日経記事では「REITが大きく下げている」「NAV倍率1倍割れ」「金利が上がっているため」などと毎日報じていますが、表面的な現象をなぞっても財務的にどういうことなのかを解剖できないと記事を理解したことになりません。投資にも役に立ちません。
 ここに「キャッシュフロー計算書」などさらに財務諸表のすそ野を広げて学ぶことで不動産はもちろん、あらゆるビジネスの現場で有用性が増します。キャッシュフローは現金収支の話なので、ここまでしっかりやると「税務会計」や「家計力」が格段に底上げされますよ。田中が保証します!

たった「6時間(半日)」で会計マスター

 2025年、日経の動画コンテンツで「ビジネスに役立つ会計レッスン」をスクール形式で企画しました。私が校長役で教材(台本等)をすべて作りました。みんなが敬遠しそうな会計がテーマだったので企画立案段階では視聴者は集まりにくいと見込んでいましたが、フタをあけてみると目標の7倍を超える想定を完全に裏切る視聴申込みがあって仰天しました。
 「会計を知らなくてビジネスでじつは不安」「知ったかぶりでここまできたが会計知識をしっかり身に着けたい」という潜在ニーズが非常に多かったわけですね。
 動画スクールでは時間の制約もあり、内容はコンパクトだったのですが、なんと!今回それを書籍化しました。


 「これからたった6時間で一生忘れない会計のレッスンをはじめます」(日本経済新聞出版刊)
 今年の8月下旬に刷り上がった出来立てほやほやです。

①直感的に頭に入るようオリジナルの図解やクイズを多用しました。
②専門用語をできるだけ別のたとえになおして脳にしみつくように解説しました。
③全体のつながり→損益計算書→バランスシート、というように6時間でマスター
④時間ごとにミニテストを準備し知識が確認できるようにしました
⑤課外活動として日本経済新聞の典型記事を読破する実践演習も用意しました
⑥実際の決算資料を読み解く「卒業試験」も用意しました。

 わかりやすいインプットと即戦力につながるアウトプットを詰め込んで、しかも半日で読めるという超「タイパ」にこだわりました。
 よろしければビジネススキル・投資リテラシーを超短期で劇的にアップする教材として目通しくださいませ。

<参考URL>https://x.gd/BZVjU