不動産投資には保険代わりプラスαの魅力あり!メリットとリスク解説

不動産投資には保険代わりプラスαの魅力あり!メリットとリスク解説不動産投資

コロナ禍や長引く不況の影響を考えれば、お金の備えに不安を感じてしまうという方は少なくないでしょう。

近ごろでは、万一の時に生命保険代わりとなる「不動産投資」を始める会社員が増加していることをご存じでしょうか?

今回は、不動産投資が生命保険の代わりとなる理由や、保険以上に得られるさまざまなメリット、さらには不動産投資のリスクとリスク対策についてわかりやすく解説します。

そもそも不動産投資とは?

不動産投資とは、株式・FX・仮想通貨のようなハイリスク・ハイリターン型の投資ではなく、所有する不動産を第三者に貸し出して家賃収入を得るという、堅実な投資方法です。

不動産投資には、不動産を持っていることで得られる収入、つまり家賃収入と、不動産を売却した際に生じる利益の2種類の収入があります。

家賃収入のことを専門用語で「インカムゲイン」、売却した際の差益収入を「キャピタルゲイン」といいます。 インカムゲインは長期にわたって手間をかけずに手堅く稼げるのが特長で、キャピタルゲインは一度に大きな利益が生じる点が特長です。

不動産投資が生命保険代わりとされる“納得”な理由

不動産を貸し出すとなると、空室が出たことによる収入減や入居者の家賃滞納といったリスクが気になる方も少なくないでしょう。

しかし、不動産投資は投資の中ではきわめて手堅い部類に位置づけられており、老後の年金対策になるだけではなく、実は生命保険代わりにもなる投資方法です。ここでは、不動産投資が生命保険代わりとされる理由を解説します。

保険名義人の死亡により不動産投資ローンは完済扱いとなる

不動産投資が生命保険の代わりになるのは、不動産投資ローンを組む際に入る保険「団体信用生命保険(以下、「団信」といいます。)」の効力があるためです。

団信については後で詳述しますが、団信に加入にすることによって、被保険者である投資家が死亡または高度障害の状態となってしまった場合に、不動産投資ローンの残債は完済扱いとなります。

そのため、投資家ご本人が亡くなり生活に不安が生じるご遺族が、それ以降の不動産投資ローンを負担する必要はありません。

不動産投資なら家賃収入で残された家族の生活を守れる

不動産投資では、団信という心強い保険のお陰で、投資家自身が死亡または高度障害の状態となった場合でも、残されたご家族はその不動産を元手に家賃収入で家計を賄うことが可能です。

しかも、不動産投資ローンに関する団信は通常の生命保険のように、毎月・毎年の保険料を実費で支払うのではなく、不動産投資ローンの金利に保険料が含まれているケースが一般的です。そのため、保険料の負担の心配はありません。

このような団信の特長も、不動産投資が“保険の優れた代役”といわれる理由です。

団体信用生命保険とは?
団体信用生命保険(団信)とは、不動産投資ローンを返済する過程で被保険者が死亡や高度障害の状態になるなどした場合、お金を貸している金融機関に対して不動産投資ローンの残債を弁済してくれる保険です。

不動産物件を購入する際に不動産投資ローンを組もうと思えば、ほとんどのケースで団信への加入が義務づけられます。

また、ひと口に団信といっても、さまざまな種類の保険があります。被保険者が、がん・脳卒中・急性心筋梗塞によって所定の状態になった時に保険が適用される「三大疾病特約」や、医師により所定のがんと診断確定された時点で保険が適用される「がん団信」などもあり、保障内容が幅広い点も特徴的です。

不動産投資には保険以上にメリットと付加価値がある

不動産投資が保険代わりになる理由については前述したとおりですが、不動産投資の魅力は単なる保険代わりに留まりません。

ここでは、不動産投資が保険以上に頼れるといわれる理由やプラスαの価値について解説します。

不労所得で安定収入が得られる

不動産投資は、労働をしなくても毎月安定して家賃収入が得られるのが魅力です。また、投資家本人に万が一のことがあった場合にも、その家賃収入を家族が引き継ぐことができるので長く不労所得を得ることができます。

もちろん、不動産の管理業務を管理会社に委託しない場合は、投資家自身が物件の維持管理などに対する幅広い業務をこなさなければなりません。管理会社へ業務委託する方が安心できるでしょう。

管理会社に業務委託をする前提であれば、不動産投資ではとくに労働をすることなく安定的に家賃収入が得られます。

安定収入というと、正社員・正規職員になるなど労働による方法が一般的ですが、このようなプロセスや実労働を伴わないという点は、不動産投資の大きなメリットといえます。

不動産投資は節税対策にもなる

不動産投資は節税対策としても大きな魅力があります。

まず、不動産購入時に不動産投資ローンを組んだ場合、ローンの金利に相当する額が不動産所得の計算上、必要経費として認められます。

ほかにも、不動産投資では固定資産税・都市計画税なども必要経費とすることが可能です。また、空室により一時的に家賃収入が減少したり修繕費がかかったりして赤字となった場合でも、ほかに給与所得など一定の所得がある場合には、これらの所得と損益を通算することができます。

さらに、不動産投資で節税効果が期待されるのが相続税です。相続発生時に相続人が保有していた財産が預貯金や現金の場合には、額面どおりの評価額で相続税が計算されます。一方、不動産の場合は、その物件の評価額から一定の減額が行われ、その減額後の評価額に対して相続税が計算される仕組みとなっています。

そのため、仮に3,000万円で購入した投資用不動産を保有していた場合には、同じ額の現金をそのまま保有していた場合に比べて、相続税額が大きく下回る可能性が高いのです。なるべく税金を節約して、少しでも多くご家族のためにお金を残したいという思いから不動産投資を始める方が多いことも納得ができます。

不動産投資にはデメリットもある!可能なリスクヘッジは?

不動産投資の魅力やメリットについて解説してきましたが、メリットの裏にはデメリットも潜んでいます。

しかし、不動産投資にはさまざまなリスク対策があるのも事実です。

ここでは、不動産投資に伴うデメリットやリスクとともに、投資家の皆さんにできるリスクヘッジについて解説します。

空室が最大のリスク

不動産投資から長期的に得られる収入は家賃収入です。家賃収入を安定して得るには、運用する不動産に入居して家賃を支払ってくれる入居者が必要不可欠となります。

しかし、入居者のライフサイクルのタイミングや物件の状態によっては、空室が出てしまうリスクは当然あります。空室が出た期間分のその部屋の家賃分が、そのまま減収となってしまうのです。

また、不動産を保有していると、どうしても老朽化や不具合などの問題が発生しますが、その際に修繕費を負担するのは物件の持ち主です。そのため、不動産投資で家賃収入を得ようとする場合は、維持・管理にかかる一定のコスト、いわゆる修繕リスクも想定しておく必要があります。

ほかにも、不動産を売却しようとした時に時価が下落していた場合には、見込んだ売却収入が得られず損をする可能性もあります。こうした流動性の悪さも、不動産投資特有のリスクです。

不動産投資家に可能なリスクヘッジ

不動産投資には様々なリスクが伴いますが、実は不動産投資のリスクはオーナーがあらかじめ把握しておけるものがほとんどです。

しかし、すべてのリスクに完璧な対策を施そうとすれば、莫大な費用がかかってしまいます。まずはリスクを受け止め、どこにどれだけの費用をかけるかなどの計画的に対策をしておけば、リスクを最小限に抑えることもできます。

先述した空屋リスクに有効なリスク対策に、「サブリース」があります。サブリースとは、不動産会社がオーナーから一括で借り上げたマンションなどを転貸する方法であり、不動産投資ではきわめて一般的なリスク対策です。

サブリース契約をすれば、空室になった場合でも家賃を契約先である不動産会社から安定的に受け取ることができます。不動産会社に手数料を支払う必要がありますが、空室リスクは回避することができるため、入退去の度に一喜一憂する心配はなくなります。

また、不動産投資に伴う空室リスクなどには、もとから良い不動産物件を選んで購入することも対策となり得ます。

立地・築年数・設備・駅近・物件そのものの魅力などの要素が十分に備わった不動産を購入して運用することができれば、空室が出たとしても、次の借り手が見つかりやすいでしょう。

また、空室リスクをさらに下げるには、借り手が限定されるファミリータイプよりも、借り手が付きやすい単身者向けのマンションや、それと同等規模のコンパクトな不動産物件を選んだほうが良い場合もあります。

建物が老朽化して改修費用が多くかかってしまうリスクに対しては、投資対象とするマンション探しの段階からリスク対策することができます。堅牢なRS造やSRC造の物件で、なおかつ新築かできるだけ築浅の物件を選ぶと、改修頻度や費用が高まるリスクを下げることができるのです。

さらにいえば、不動産投資にまつわるリスク対策で総合的に重要なのは、良きパートナーとなる管理会社や仲介会社と契約し、サポートを得ることです。購入する不動産選びでも、空室が出た時でも、優秀なパートナーのアドバイスによって、リスクを回避できる場面は少なくありません。

不動産投資とは、サラリーマンなどが本業に専念しつつ、保険代わりともなる資産形成を着実に進めていくタイプの投資であることを忘れず、堅実で現実的なリスク対策を行いましょう。

不動産投資と生命保険、結局どちらがお得?

不動産投資は生命保険の代わりになるだけでなく、さらなるメリットがある投資だということをお伝えしてきましたが、不動産投資か保険か、どちらかだけやっていれば安心なのかどうか疑問を持つ方もおられるでしょう。

ここでは、不動産投資と生命保険とどちらがお得なのかをお伝えします。

生命保険よりも不動産投資にお得感がある理由

生命保険にももちろん多くのメリットがありますが、加入時に設定された保険料を支払い続けなければならず、保険商品によっては掛け捨てとなり、結果的に出費が無駄になるケースもあります。

また、被保険者の死亡などによって保険金は入ってきても、継続的な収入が得られるわけではありません。

その点、不動産投資は、生命保険代わりに十分な機能を果たすうえに、仮に被保険者が亡くなった場合でも、ご家族が引き続き不労所得を得ることができます。

団信の加入には条件がありますが、コストは金利に含まれるため、実際には費用がかかりません。

被保険者に万が一の事態が起きた場合にも、不動産という現物資産がご家族にそのまま残り、ローンの支払いもないまま引き続き収入を得ることができ、あるいは売却して現金化することもできるというメリットは不動産投資ならではです。

ほかにも、不動産はインフレ時でも価格が連動するため、損しにくいというメリットがあります。一方の生命保険は、インフレでお金の価値が下がれば、受け取れる保険金も目減りしてしまいます。その点に関しては不動産投資の方がお得感が上回るといえるでしょう。

不動産投資していれば生命保険には加入しなくていい?

不動産投資さえしていれば生命保険に入らなくていいかというと、そうとは言い切れません。

被保険者に万が一の事態が起きた場合に、ただちに現金が入ってこないとなると、残されたご家族は当座の生活や葬儀代支払いなども不安です。

また、不動産投資を始めると団信への加入によって、これまで加入していた生命保険が過剰になることが大いに考えられます。団信とのバランスを見直して生命保険を乗り換えるなどの検討は必要でしょう。

もちろん、病気・ケガ・入院に備えるための医療保険は、また別に加入し、もしもの事態に備えておくことが賢明です。

一方で、投資家が健在であっても、投資運用中に不動産が自然災害などで倒壊・損壊するリスクもゼロではないので、生命保険のほかにも、各種保険は状況に合わせて加入することをおすすめします。

リスク低減策!不動産投資する前に加入すべき保険とは?

不動産投資のメリットを最大限得るためには、リスク管理が必要不可欠となります。

不動産投資を行う際には、収入の元手となる不動産物件が自然災害などで倒壊や損壊した時に備え、以下の2つの保険に加入することを強くおすすめします。

・火災保険
・地震保険(火災保険にオプションをつける)

自然災害が増加傾向にある昨今、不動産投資家にとって、火事・地震に対しての備えは必須といえます。台風や水害の深刻化も目立つので、そうした災害をカバーする保険への加入も検討が必要です。

まとめ

不動産投資は生命保険などの代わりとなるだけでなく、投資用不動産を購入し運用を開始した時から不労所得が得ることができます。また、その所得は投資家自身が亡くなったり高度障害の状態となったりした場合に、家族が引き継いで得ていくことが可能です。デメリットやリスクもありますが、それを理解したうえで優良な投資用不動産を手に入れ、信頼できる不動産会社などからアドバイスを受けながら賢く運用し、将来に備えることが重要といえます。


著者・監修者プロフィール

八城孝夫 (やしろたかお)
八城孝夫 (やしろたかお)
税理士 渡辺正武税理士事務所
認定経営革新等支援機関、一般社団法人融資コンサルタント協会 認定コンサルタント。青山学院大学大学院法学研究科修了。事業承継対策、遺言・民事信託を活用した相続対策をはじめとした相続対策の企画立案など、おもに法人・相続領域の税務・コンサルタント業務に約20年従事。その他資金調達ならびに創業融資支援を得意とする。