株6万円時代の不可解な謎

不動産投資

日経平均株価が4月に史上初めて6万円を突破した後も上昇が止まりません。株式投資をやっていないという方も、株価がとてつもない勢いで上昇していることはご存じだろうと思います。中東情勢の緊迫化や原油高などどこ吹く風ですね。

6万円台突破は正直、私の理解を超えています。そもそも、日経平均株価が34年3カ月ぶりにバブル期高値(1989年12月)を更新したのが2024年3月でした。それから1年半で初の5万円台乗せ。このときのスピード達成も驚きを禁じ得なかったのですが、いま中東情勢の混迷で景気や物価の先行きがどうなるかわからない不透明な局面にあって、わずか半年間という猛烈な速さでさらに大台を塗り替えることになろうとは・・・・

2025年以降のチャートをご覧ください。値動きがいかに異常かを物語っています。関税ショックで株価が3万円割れ寸前まで下がったのが2025年4月でした。ほぼ1年間で日経平均株価が2倍になったわけです。日経平均株価は主要225社のいわば合算値。225社の企業価値が1年で10%ぐらい変動することはあっても2倍に増えることはありません。

つまり、合理的根拠の乏しい動きといえます。

「バリュエーション的にありえない」とテレビ解説で口を酸っぱくしてこの株高を否定的に解説するのですが、「年寄りの世迷いごと」と交わすかのように株価は上がり続けます。私にとっては解けない謎めいた現象のように思えてきます。

その謎解きのヒントの1つが日経電子版の記事に出ました。「下落相場を知らないプレーヤーが増えているのではないか」

なるほど!

そういえば私はバブル真っ盛りの1989年4月に日本経済新聞社に入社しました。以来、マーケットと向き合って37年間――。株価が最高値を超える2024年3月まで35年間は実質下げ相場だったわけです。

アナリスト分析的(笑)ですが、田中がみてきたマーケットの95%が下げ相場(もしくは低迷局面)であり、高値更新をほとんど知らない世代といえます。だから、株価はすぐ下がる、株高は定着しないという、長く積み上げてきた知識と経験が「邪魔」をしている気がします。

一方、今のファンドマネジャーが仮に30~40代だとすれば私より20~30年若いということになります。2012年からのアベノミクス相場で、日経平均株価が8000円台から8倍近くに急上昇してきた世界しか知らない、ということも考えられます。

下げるということを知らない若手投資家と、上げるということを知らないシニアの私。単なる投資家心理だと片付けられない真相ではないかと思うのですがどうでしょう。

ここは不動産オーナーのチャンネルです。不動産価格も株価ほどではないですが状況は酷似しているのですよ。私がアセットリード社はじめいくつかの投資物件を購入した際、近親者や友人にも勧めたことがあります。収益物件だし、金利も低いから借金して買ったよ、おまえさんも検討してみない?と。

「不動産?そんな危ないものに手を染めているのか?」

「大丈夫か?投資不動産なんて信用していいのか」

それが、この前会ったときにこう言われました。

「不動産がこんなに上がるなんて…買って大成功だったな」

私の世代は不動産は怪しい、危ない、損する、――ネガティブな印象ばかりです。なにせ、バブル崩壊後、日本経済を死に追いやった「不良債権」の核心が不動産でしたから。

不動産の買い手もどんどん世代交代が進みそうです。株価と同じで、プレーヤーの新陳代謝は今後の不動産市場に追い風に働くのかもしれませんね。

【参考記事】「下げ知らず」が呼ぶ強気相場 若手投資家、高値でも買いhttps://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB089YF0Y6A500C2000000

著者・監修者プロフィール

田中彰一 (たなかあきかず)
田中彰一 (たなかあきかず)
日本経済新聞社 コンテンツプロデューサ-兼アセットリード物件オーナー

●1989 年入社、証券部配属。東証や日銀、NY駐在など主に金融・資本市場担当。
BSテレビ東京「日経モーニングプラスFT」、日経CNBC「昼エクスプレス」コメンテーター
テレビ解説のほか日経電子版開発、コラム執筆など「話す」「創る」「書く」の三刀流をこなす。
CFP®、1種証券外務員、シニアプライベートバンカー、宅地建物取引士。
●奈良出身。趣味は世界遺産巡り(現在43カ国・地域歴訪)、大型バイク、ドローン、ゲーム、競馬
●最新刊「50 代から輝く!『幸福寿命』を延ばすマネーの新常識」(日経出版社)など著書多数。