サラリーマンの節税術。医療費控除は“家族の”入院費・通院費・薬代も対象になる

サラリーマンの節税術。医療費控除は“家族の”入院費・通院費・薬代も対象になる税金

医療費をほとんど使っていないから医療費控除は関係ない……こんな風に感じる方もいるかもしれません。しかし、医療費控除はご自身の分だけでなく(同じ生計で暮らす)子供や老齢の親など親族のために払った分も含まれます。家族みんなの医療費を合算すれば、まとまった金額になることもあるでしょう。しっかり確定申告して節税したいものです。

医療費控除の対象となる費用は幅広い

医療費控除は、1年間の医療費の合計が10万円(実際に払った金額)を超えた分に適用されます。冒頭で申し上げた通り、ご自身の分だけでなく生計を共にしている家族みんなの医療費を合算して10万円以上であれば控除の対象です。健康保険が適用される「入院費・通院費・薬代」に加えて、下記の費用も含まれます。

・入院中の食事代
・入院中の付添人代
・通院にかかった交通費など

逆に、医療費控除の対象にならない項目は、「親族が付添人をした時の付添料」「寝間着など身の回りのものを買った費用」「患者都合による差額ベッド代」などです。

歯科治療の費用も医療費控除の対象に

もうひとつ、医療費控除で見逃せないのは、歯科治療も対象になることです。家族みんなの通院・入院費に歯科治療を加えれば、合計額が年間10万円を超えてくる方も多いかもしれません。基本的には、健康保険が適用される歯科医の治療費は、医療費控除の対象になると考えてよいでしょう。逆に言えば、健康保険が適用されない審美歯科は医療費控除になりません。

もちろん、歯科ローンで支払いをした治療も健康保険適用のものであれば、大半は医療費控除の対象になります。歯科矯正については、成長段階にある子供の治療のみ医療費控除になります。

ドラッグストアで買った薬も医療費控除になる

医療費控除に関連するトレンドには、2017年にスタートした「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)」があります。これは、ドラッグストアで購入した市販薬の購入代金で年間1万2,000円以上になった場合は控除が受けられるというものです。医療費控除と同様、(同じ生計で暮らす)家族の分も合算できます。

対象となる市販薬は、1,700種類以上にもおよびます。(2019年1月末時点)普段買っている薬、これから買う薬がセルフメディケーション税制の対象にならないかチェックしてみましょう。こちらの厚生労働省のWebサイトから対象品目が確認できます。また、対象になる市販薬には、パッケージのどこかに下記のような識別マークが入っていることが多いです。

セルフメディケーション税制
※このマークは「一般社団法人 日本OTC医薬品情報研究会」の登録商標です。

注意点としては、セルフメディケーション税制を利用するには、以下の取り組みを行っている方が対象です。要は健康管理に前向きな方を対象にするという意味合いでしょう。

・健康保険組合や自治体が行う健康診査を受けている
・会社で行う健康診断を受けている
・インフルエンザなどの予防接種を受けている など

また、所得税や住民税の滞納がないことも利用の条件になります。ただし、通常の医療費控除とセルフメディケーション税制は、どちらか一方の選択制です。両方を併用できません。

医療費控除の手続きは簡単 用意された明細書を提出するだけ

ここでは、下記のポイントについて解説いたしました。
・医療費控除は、家族を含めた医療費が年間10万円を超えると控除対象になる
・医療費控除には、歯科治療も含まれる
・最近新しく生まれたセルフメディケーション税制(医療費控除の特例)のポイント
・医療費控除とセルフメディケーション税制は併用できない

なお、医療費控除を受ける場合は、確定申告の必要がありますが手続きは簡単です。2017年度分から領収書の提出・提示は不要となり、利用状況を一覧にした「医療費控除の明細書」のみの提出で済むようになりました。医療費控除の手続きについては、国税庁で詳しい資料を用意しています。こちらをご参照ください。

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アセットONLINE編集部
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