不動産投資に地震保険は必要?まずは基本を知ろう

不動産投資に地震保険は必要?まずは基本を知ろう不動産投資

内閣府の調査によると、2000~2009年にかけて世界におけるマグニチュード6以上の地震のうち20%が日本近海で発生しているとのことです。地震大国日本の地震リスクの高さを物語っています。そのため、不動産投資においても何らかの備えが必要となるでしょう。耐震補強のように物理的な対策も考えられますが、金銭面でまず考えられるのは地震保険です。今回は、地震保険の基本をまとめたので、加入するかどうか考える際に参考にしてください。

地震保険が払われるのはどんなとき?

地震保険の対象となる損害は、地震による倒壊や、津波による建物の流出、家財の破損などです。こう書くと、建物が跡形もなく崩れ去ってしまったような状況を想定するかもしれません。しかし、一見して目立たないような損害でも、柱や壁などの主要な構造に被害がある「一部損」でも保険が支払われることがあります。

入居者は、賃貸居住者向け火災保険に加入するのが一般的ですが、保険の対象となるのは家財だけです。建物自体が損害を受けるリスクをカバーしたいのであれば、所有者である不動産投資家が保険をかけておく必要があります。火災保険の中には、賃貸オーナー向けに保険対象をカスタマイズできるものもあるので、これに加入して地震保険も付帯してつけると無駄がありません。

火災保険だけでは、地震によって発生する火災には対応できません。1923年に発生した関東大震災では、地震で倒壊した建物の数は約1万2,000棟でした。一方、火災によって失われた家屋は22万棟と約18倍にものぼっています。地震による火災がいかに恐ろしいかがわかる事例です。このリスクをカバーするのが地震保険なのです。

ただし、地震保険の損害として認定されるのは主要構造部のみです。門や塀だけが壊れたという場合は対象になりません。地震保険は保険金で建物を建て直すといった使われ方を想定しているわけではありません。被害が発生した後の生活を経済的にサポートするための保険という考え方を基本としています。不動産投資においては、地震で失われる収益の一部を確保するような意味合いで考えておくとよいでしょう。

地震保険の保険金額はどれぐらい?

地震保険は、火災保険の特約のような位置づけのものです。保険金額も火災保険で契約した保険金額にしたがう形です。具体的には、火災保険の保険金額の30~50%の間で任意に決めることができます。ただし、建物の場合は5,000万円までが限度です。建物に対する保険金額の計算方式には、再調達価額と時価の2種類があり、地震保険では時価を採用します。

計算方法としては、まず同じような建物を建てるのに必要と想定される金額を出し、そこから経過年数分だけを差し引いて算出します。この経過年数分の考え方は、税金計算のときに使う減価償却とは異なります。火災保険の保険会社や建物の構造にもよりますが、年間1~1.5%くらいです。この割合を経年減価率といいます。

全損の場合に地震保険で払われる保険金を、事例を使って計算してみましょう。東京にある新築の鉄筋コンクリート造、20平方メートルのワンルームマンションを購入し、同時に火災保険と地震保険に加入しました。保険金額は火災保険に対して50%という契約です。保険会社によると、東京の分譲マンション専有部の建築単価は14万円。経年減価率は1.5%ということです。

20年後に地震が発生して全壊したとします。まず、同様の建物を建てるのにかかる価格は次のように計算されます。

・14万円×20平方メートル=280万円

経年減価率が1.5%だと、20年後には約70%になる計算です。

・280万円×70%=196万円

これが火災保険における時価です。地震保険はこの50%という契約になります。

・196万円×50%=98万円

そのため、支払われる金額は約98万円ということがわかるのです。

区分所有マンションの場合に確認しておきたいこと

区分所有の場合には、専有部分と共用部分とで別々に加入することになります。管理組合で共用部分に加入しているからといって油断は禁物です。専有部分を購入するかどうかは自分自身で判断しなければなりません。マンションに限らず、加入を検討する際には割引が適用されるかどうかも確認するとよいでしょう。

地震保険の保険料は構造と地域によって異なります。例えば、東京にある鉄筋コンクリート造の建物の場合、保険金額1,000万円につき保険料は年間2万5,000円です。低くない保険料ですが、建築年割引や耐震等級割引などの割引制度を利用すると、最大50%OFFになることがあります。

保険金額と保険料、リスクなどを総合して検討しよう

地震保険の保険金は主契約となる火災保険の保険金額にしたがいます。保険料は構造や場所によって決まり、さらに建築年などによる割引も可能です。地震が起きたときに必要とするお金と保険料のバランス、建物が被害にあうリスクなどを総合的に見て加入を検討しましょう。

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アセットONLINE編集部
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