2019.5.31
不動産投資

スルガショック後も伸びる融資 今、不動産投資家に必要とされるもの

(画像=karen roach/Shutterstock.com)
(画像=karen roach/Shutterstock.com)
「スルガショックのせいで銀行融資が出ない」――不動産投資に関心がある人の多くは、このようなイメージをお持ちなのではないでしょうか。いくつものメディアがアパートローンの融資審査が厳しくなっている旨を報じ、あきらめムードさえただよっています。しかし悲観する必要はありません。実際の統計データから、投資家が持つべき姿勢をあぶり出します。

新規貸出金額は大幅な減少

2018年4月、シェアハウス「かぼちゃの馬車」を運営していたスマートデイズの破綻にからんで不正融資をした疑いで、スルガ銀行が金融庁の立ち入り検査を受けました。第三者委員会は組織的に不正が行われていたことを報告し、同年10月には半年間の業務停止命令が下りました。一連の流れを「スルガショック」と呼び、現在融資が冷え込んでいる原因と見る向きがあります。

実際の融資額はどのように推移しているのか、日本銀行の統計データから見てみましょう。まずは貸出額です。次のグラフは直近10年間強の「個人による貸家業への新規貸出額」つまり不動産投資ローンへの融資額を表しています。 

これを見るとたしかに立入検査後の2018年6月以降は大幅に落ち込んでいます。しかし2016年をピークに始まった下落のペースを、ことさらに加速しているとまではいえません。 

全体の融資額は2年前のピークと比べて半減していますが、スルガショックの影響によるものというよりも、過熱感の調整といった意味合いが強いのではないかと推測できます。

【個人による貸家業への新規貸出額】
 

新規貸出件数はわずかに伸びている

【新規貸出件数と貸出額】

 
次は先ほどの貸出金額を銀行と信用金庫に分け、貸出件数を加えたグラフです。金額と件数では単位が違うので、そろえるために2009年9月を1 とした増減率で表しています。

これを見ると、銀行の貸出金額は2016年以降の落ち込みが大きいのに比べ、信用金庫は2015年をピークとし、ゆるやかに減少していることがわかります。

それよりも注目すべきは、銀行・信用金庫とも、貸出件数がわずかながら増え続けていることです。

つまり「一件あたりの融資額は減っているものの、審査を通過する数は増えている」のです。融資が完全に冷え込んでいるとまではいえません。

担保評価が厳しくなっていると考えられる

この矛盾するようなデータをどう解釈すればよいのでしょうか。ひとつ考えられるのは「金融機関は貸したい。でもあまり大きな額は貸せない」状態にあるということです。スルガ銀行で金融庁が問題視したことは書類の改ざんなどの違法行為です。その背景にあるのは、不動産の担保価値を過大に評価し、異常な額を貸し付けたということにあります。 

金融庁のにらみが効いている今、各金融機関は担保の評価に対して慎重になっていることが考えられます。

しかし今でも本当は貸したいはずです。不動産投資ローンはやはり銀行にとってうまみのある事業だからです。住宅ローンよりも高い金利で貸し出せ、確実に担保をとれるため回収不能リスクが低い貸し出し先と認識されています。ほとぼりが冷めたらまた以前のように融資額を増やす可能性はあります。

裏を返すと、今の状況でも正当な担保評価であれば、融資を受けることは可能です。この状況で不動産投資家がとる対策としては3つ考えられます。ほとぼりが冷めるまで待つか、自己資金をたくさん用意する。または担保評価よりも実売価格の低い「お買い得物件」を見つけることです。

今回紹介したデータは2018年10月までのものですから、スルガショック後のデータと見るにはまだ少し早いかもしれません。金融機関の動向は追って注目するべきでしょう。

堅実な正統派不動産投資家たれ

騒動があった直後の統計を見るかぎり、スルガショックの影響は限定的です。貸出金額のピークは2016年頃にあり、その前後を通じて貸出件数が伸びていることから見ても、金融機関には不動産投資ローンに対して依然として積極的な部分があるといえます。しかし担保評価は以前よりも厳しくなってくるでしょう。不動産投資家には、自己資金をしっかり貯めて物件を見極める眼を養い、過大な担保評価に頼らない、堅実な姿勢が求められているのです。

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