2018.10.30
不動産投資

ReTech(不動産テクノロジー)の進歩の現況~IT重説~

(写真=GaudiLab/Shutterstock.com)
(写真=GaudiLab/Shutterstock.com)
最近さまざまなテクノロジーをベースにした技術革新とそれを表現する造語が新聞、雑誌、Web上をにぎわせています。その代表例として資産運用や決済機能を中心とした金融(Financial)と科学技術(Technology)を合わせたFinTech(フィンテック)は有名です。また、保険(Insurance)と科学技術(Technology)を合わせたInsurTech(インシュアテック)や、不動産(Real Estate)と科学技術(Technology)を合わせたReTech (リテック)が少しずつ認知されるようになってきました。

かつて不動産業界は、Technologyへの対応が遅れた業種の代表格でしたが、最近になってようやくさまざまな場面でテクノロジーを導入する機運が高まってきました。例えば、マンションの過去の売買事例から、将来の売買価格を推計するなどがその代表例です。その中で2017年IT重説(重要事項説明書)が解禁されましたので、その内容について見ていきましょう。

IT重説とは

現在の宅地建物取引業法においては、住宅の売買、もしくは賃貸契約を締結する際、宅地建物取引士が購入者(賃借人)に対し、重説を交付し、宅地建物取引士自らが対面で説明を行わなければならないことになっています。しかし、2013年に策定された「IT利活用の裾野拡大のための規制制度改革集中アクションプラン」で、インターネットなどを利用し、対面以外の方法による重要事項説明について、具体的な手法や課題への対応策に関する検討が行われました。

ただし、2017年秋に解禁されたのは賃貸借契約における借り主への重要事項説明に限られました。
※なお当初は検証対象となっていた「法人間売買取引」での導入は見送られています。また、個人が契約当事者となる売買取引は今後の検討課題として残されています。

不動産業者の立場では「IT重説を必ずしなければならない」というわけではありません。しかし、今後、IT重説を「できる」宅地建物取引業者と、「できない」宅地建物取引業者では、顧客からの評価にも差が生まれてくることが予想されます。例えば、引っ越し先が遠距離の場合、引っ越し前に何度も現地に足を運ぶことが難しいケースもあるでしょう。そのようなケースでは従来のように契約時に不動産会社のオフィスに赴くことを省けることは顧客にとって大きなメリットになるはずです。今後、我々の中に身近になっている「食べログ」のように、サービスを受けたお客様からの評価が宅地建物取引業者にもなされ、これが将来、業者の売り上げに直結する世の中になっていく可能性もあるかもしれません。

業者側は、他社との差別化を図るためにも、積極的に取り組んでいく必要があるのではないでしょうか。また、これから部屋を借りようとする方々も、ITによる重要事項説明のやり方についての概要は知っておいたほうがよいでしょう。そこで「IT重説」がどのようなものなのか、社会実験の結果や導入に向けた最近の動きを中心に見ていきましょう。

社会実験の結果は「支障なし」

まず、実施に先立ち、1年5ヵ月にわたり行われた実験には、303社の業者が参加しました。IT重説実施直後のアンケート調査では、宅地建物取引士の説明内容について「すべて理解できた」が52.4%、「ほぼ理解できた」が45.0%にのぼり、説明をめぐる問題やトラブルはほとんどなかったそうです。

IT重説を実施した側である宅地建物取引士へのアンケートでも、説明にあたり特段の支障はなかったようです。ちなみに、説明の受け手はスマートフォンが61.8%と半数以上を占めていたとのことです。

重要事項説明書の事前交付で、借り主の理解度が高まるメリットも

重要事項説明書などを「書面で交付すること」という宅地建物取引業法の原則は維持されていますので、IT重説をする前に、宅地建物取引士が記名押印した重要事項説明書および添付書類を、相手方にあらかじめ送付することが必要です。実際に運用するうえでは、重要事項説明書と同時に契約書を送り、ビデオ通話での説明終了後に借り主が署名・押印して返送するケースが一般的です。

IT重説を受けた人に対するアンケート調査では、事前に重要事項説明書をすべて読んだ人が54.6%にのぼり、一部だけ読んだ人を合わせれば全体の86.8%が事前に重要事項説明書に目を通しています。これまでは、借り主が来店していきなり重要事項説明を行い、そのまま即契約というケースも多かったのです。

しかし、IT重説の手続きにより契約前に借り主が契約書を読む機会があり、事前に契約内容についての理解を深め、疑問点は重説時に質問することができるようになりました。

いずれは「全面解禁」が時代の流れ

前述したとおり、現在は、賃貸物件のみIT重説が使用可能ですが、今後は確実に売買物件に関しても取り入れられることとなるでしょう。数年後には、売買取引についても重説だけでなく契約や決済、司法書士への登記申請依頼などもオンラインによる電子署名での手続きが可能になることが予想されます。不動産業者側も、この流れに取り残されないことが安定した経営につながることは間違いありません。

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