2019.11.11
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景気後退の前兆? 米国の「逆イールド」はなぜ注目されるのか

(写真=Myimagine/Shutterstock.com)
(写真=Myimagine/Shutterstock.com)
2019年8月、米国で12年ぶりに「逆イールド」が発生したとニュースで報じられました。逆イールドは「景気後退の前兆」ともいわれています。そもそも逆イールドとはどんな現象なのか。なぜ注目されているのでしょうか。今回は米国の逆イールドや、注目される理由について解説します。

米国債の「逆イールド」現象とは?

国債は発行期間(償還期間)が決められています。例えば発行期間が3ヵ月と短いものもあれば、10年、20年、40年などの長いものまでさまざまです。一般的に同じ種類の債券で見ると、満期までの期間が長いものほど利回りは高くなります。なぜなら期間が長いほど不確定な事項が増え、償還(返済)されないリスクや価格変動のリスクが高まると考えられるからです。

「逆イールド」は、これとは逆の状況になります。つまり発行期間の長い国債の利回りが、発行期間の短い国債の利回りを下回る状態のことです。2019年8月14日、米国債券市場で10年物国債の利回りが2年物国債の利回りを下回る逆イールドが発生しました。この現象が起きたのは12年ぶりとのことです。逆イールドの発生は景気後退のサインといわれています。

なぜ景気後退のサインといわれるのか

逆イールドが景気後退のサインといわれる理由は、2000年や2007年に逆イールドが発生した際も、1~2年後に景気後退となったからです。過去に逆イールドが景気後退につながったというだけで、はっきりとした仕組みがわかっているわけではありません。ただし経験則として知られていることは、投資家の心理に影響を及ぼします。

つまり「逆イールドが起きた」→「過去には1~2年後に景気後退があった」→「今回も景気後退が起こるかもしれない」と連想する人が増えると投資家のリスク許容度が下がり、リスクオフの動きから株価の下落などが起こる可能性があるのです。

そもそもなぜ逆イールドが起こる?

今回はなぜ逆イールドが起きたのでしょうか。なぜなら、そもそも投資家の心理が悪化しはじめていたからです。株式と比べて国債は安全性の高い商品なので今後の景気が低迷すると予測する投資家が増えた場合は、「国債へ資金を移しておこう」という流れが起きます。今回もまさに米中貿易摩擦などを発端に景気減速懸念が高まり、国債への資金流入が起こりました。

その結果、国債の価格が上昇。国債の価格が上昇すれば利回りは下落します。こうして長期国債利回りが下落し、短期国債利回りを下回ったことで逆イールドが発生しました。

日本にはどのような影響がある?

今回、米国債の逆イールドが起きたことで日本にはどのような影響があるでしょうか。米国は世界最大の経済大国であり、日本の経済にも大きく影響しています。特に株価などは「米国がくしゃみをすると日本が風邪を引く」といわれるように米国市場と日本市場は如実に連動している傾向です。逆イールドが起きて景気後退に備える投資家が増えます。

そのため株価下落などのリスク回避ムードが高まれば、当然ながら日本の株式市場にも影響が避けられません。株価が下がれば投資家の持っている資産は目減りし、消費の低迷や不動産価格の下落にもつながる可能性があります。

投資家はどんな対策をとるべきか?

逆イールドは、明確な仕組みがあるというよりも「過去の経験則」からくる景気後退のサインの一つです。過去にそうだったから、今回も同じことが必ず起こるとは限りませんが「そうなる可能性がある」と構えておく必要はあるでしょう。具体的には、株式などのリスク資産のポジションを減らして現金の比率を高めるといった対策です。

しかし「今回の逆イールドは過去とは違う」という意見も散見されます。景気刺激策として金融当局が政策金利を引き下げることで短期国債の利回りが低下し、逆イールドが解消することもあります。国債金利の低下は、銀行の貸出金利の低下にもつながるので「融資を受けて積極的に投資をしたい」という投資家にとってはチャンスです。

このような状況に「投資家がどう対応すべきか」については確実なことはいえません。しかしマーケットの動向に一層注意を払う必要があることは確かでしょう。変化をいち早く読み機敏に行動することが、マーケットで生き残るための秘訣なのです。

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