2019.9.17
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民泊最前線の街を歩く、今起きていることとこれから起きること

(画像=best_nj/Shutterstock.com)
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2018年の訪日外国人数は約3,119万人と依然として増加傾向です。訪日外国人客がもたらす経済効果はインバウンド需要とも呼ばれ、国内にさまざまな産業を生み出しています。その中の一つが、民泊です。2017年には住宅宿泊事業法(通称:民泊新法)が成立し、高まるインバウンド需要に民泊を活用するという流れが加速しています。

訪日外国人の約3分の1にあたる約1,141万人が訪れている都市が大阪です。大阪の地ではインバウンドビジネスを中心に大きな変化が起きており、まさにインバウンド最前線といえるでしょう。そんな大阪で「今何が起きているのか」「今後何が起きようとしているのか」といった最新情報をレポートします。

そもそも、民泊とは何か

民泊ビジネスの根拠法になっている住宅宿泊事業法という名称を見ても分かるように、民泊とは住宅を宿泊施設として供するビジネスのことです。空き家など遊休不動産の有効活用と、高まるホテル需要に供給が追いついていない状況の解決策として期待されています。当初は違法性のある民泊業者も乱立していましたが、それを追認する形で法整備がなされました。

民泊と混同されやすいのが、民宿やゲストハウスといった安い価格帯の宿泊施設です。宿泊者にとっては大差がないかもしれませんが、民宿やゲストハウスは旅館業法が根拠法となっており、最初から宿泊施設として供されることから民泊よりも厳格な基準が設けられています。

大阪の民泊を取り巻く最新事情

まだ住宅宿泊事業法が施行される前から、国家戦略特区法によって2015年に大阪府が、2016年には大阪市が旅館業法の特例という形で特区指定を受け、それぞれに関連条例を制定して民泊ビジネスが合法化されました。この段階では、まだ条例レベルでの法整備にとどまっていたため違法民泊がなくなることはなく、むしろ「まもなく合法化される」という思惑も働いて大阪の中心部には違法民泊業者が乱立したのです。

2017年に成立した住宅宿泊事業法によって法律レベルでの民泊法整備が完成。これを契機に大阪では違法性が疑われる民泊の取り締まりが強化され、その数は10分の1にまで激減しました。

「大阪ミナミ」で起きている変化

大阪の中心部には梅田を中心とする「キタ」と、心斎橋・難波を中心とする「ミナミ」という大きな繁華街があります。その中でもインバウンド需要が高いのはミナミ地区です。特区民泊の約9割が集中している大阪市内において、その大半がミナミ地区に集中しています。中心繁華街は不動産価格が高く、遊休不動産も少ないため、民泊はその周辺地域に点在しています。

大阪市中央区島之内や日本橋、浪速区元町は特に民泊が多く、1日を通じてトランクケースを引きながら歩く外国人の姿を見ることが可能です。これらの地域では、戸建て住宅や小規模な一棟ビルを民泊として利用しているケースが多く見られます。マンションは利用規約で民泊が禁止されているケースが多く、その制約を受けない一棟物件に目をつけたのでしょう。

それまでは企業のオフィスや倉庫、店舗などに使用されていたビルの2階から上が民泊として利用され、1階が小規模な免税店になっているという光景も珍しくありません。

民泊のこれから

政府は訪日外国人数を年間4,000万人にまで増やす戦略を持っており、このペースで増加を続ければ達成も現実味を帯びてくるでしょう。大阪ではホテルの建設ラッシュが続いている一方で、さらに増える訪日外国人によって民泊への需要も引き続き旺盛であると見込まれています。そこで起きている新しい現象として目を引くのは、民泊を前提とした新築マンションの登場です。

民泊はそもそも空き家などを有効活用するところに投資価値があるのですが、住居向けに用意された不動産を宿泊向けに転用することには法律面以外にも無理があります。それなら最初から民泊を前提にしたマンションを建てれば、あらゆる問題は解決するというわけです。通天閣や新世界といった人気観光エリアの周辺にも多くの民泊が点在しています。

しかしこのエリアに特区民泊を前提としたマンションが建設された事例があるため、こうした動きも含めて、大阪のホテル不足と民泊の隆盛はまだまだ続きそうです。

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