2019.8.5
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2020年問題の次は22年、25年……不安の先にあるものは

(画像=sommart sombutwanitkul/Shutterstock.com)
(画像=sommart sombutwanitkul/Shutterstock.com)
「必要な老後資金は2,000万円」とする金融庁の報告書が注目を浴び、デモ行進が行われるほど物議をかもしました。この騒動の背景には、先行きが不透明な未来への不安があるのでしょう。経済界や不動産業界ではよく、将来起こりうるリスクを「2020年問題」「2022年問題」「2025年問題」など、”西暦+ 問題”という形で表現します。不動産のオーナーや不動産投資家は、これらの問題にどう対応すればいいのでしょうか。

2020年オリンピック後の景気はどうなる?

東京オリンピックが開かれた後、不動産業界を中心に景気が落ち込むという「2020年問題」。開催に向けた盛り上がりとの温度差が印象的です。

この悲観的な予想は、次のような筋書きによってなされます。2020年のオリンピックに向けてホテルや商業施設、交通機関などの建設ラッシュが起こる。ここまではいわゆる特需によって、景気はむしろ良くなります。しかし開催後は需要が低迷し、供給が過剰になることで不動産価格が暴落する。他の業界もあおりを食って、経済全体が落ち込む……。

そう言われれば納得してしまいそうですが、反論する声も多くあります。有力な根拠として挙げられるのは、2015年に日本銀行が発表した「2020年東京オリンピックの経済効果」です。このレポートで紹介されたBrückner and Pappaの研究では、1950~2009年のデータを分析し、オリンピック開催後も「プラス効果が持続(成長率で反動減が生じない)」としています。

オリンピック後も経済成長が続く背景として、同研究では「対外開放度の高まり」を指摘しています。開催に向けた政策や民間企業の取り組みなどが海外とのつながりを強くし、観光客を中心とした消費が活発になるということです。

したがって、2020年問題をあまり悲観的にとらえる必要はないのかもしれません。

2022年問題で都市部の土地が余る?

不動産業界が抱える(と言われている)不安は、まだまだあります。2022年問題は、都市部の農地に対する税制優遇措置である「生産緑地」が終了することで大量の宅地が出回り、供給過剰になって不動産価格が下がるというシナリオです。

この生産緑地の問題については、法改正による対策が講じられています。2017年に行われた租税特別措置法の改正により、税制優遇の期限が2022年から10年延長することが認められ、対象となる土地の広さなどの要件も緩和されました。

この宅地の大量供給は、生産緑地で農業を続けることが難しい場合、自治体に買い取りを求めることができるという制度によるものです。しかし、これらの農地ではなくなる土地すべてが、同じ時期に宅地になるわけではありません。実際に不動産業者を通じて住宅として一般販売されるまでには、設計や造成、建築などに時間を要し、その期間はそれぞれ異なるからです。

2022年以降、都市部の農地が宅地に転用されるケースは増えるでしょう。しかし、それが不動産価格の暴落の原因になる、とまでは言えません。

2025年問題に表れる高齢化社会の課題

最後に取り上げる2025年問題は、不動産業界に限った話ではありません。少子高齢化の進行を原因として、日本の社会保障費が増加することが懸念されています。これは、1948年前後のベビーブームに生まれた人たちが75歳を迎え、医療費や介護費が増えるからです。

現役世代の負担が増えれば消費に回るお金が減り、経済が冷え込むおそれがあります。それが、投資用不動産の価格を下げる要因となる可能性もないとは言い切れません。

2025年問題については、明確な解決策を打ち出せていないのが現状です。日本の持病とも言える大きなテーマですから、そう簡単にはいきません。

しかし、社会保障費が不安だからこそ、自助努力が必要とも考えられます。冒頭に挙げた金融庁への批判も一理あるのですが、将来設計を政府などの他人に頼るよりも、自分自身で組み立てたほうが現実的です。

ここで挙げた問題だけではなく、悲観シナリオを作ろうと思えばいくらでも作り出せます。起こるかどうかわからないことに不安を抱いて行動を制限するより、将来の資産形成のために今からできることをするべきではないでしょうか。

市場全体が傾いたからといって、参加者全員が必ず損をするというわけではありません。特に不動産投資は個別性が強いので、マクロ経済の動きが与える影響は金融商品ほど大きくはないのです。

「◯◯問題があるから不動産を買うのはやめておこう」と考えるのではなく、物件が持つ個別の価値で購入の是非を判断すべきです。

将来の問題を気にしすぎるとキリがない

2020年問題や2022年問題、2025年問題と、不動産市場の未来は逆境だらけという見方もあります。しかし、これらの問題が発生するという根拠は弱く、あまり大きな影響は見られないかもしれません。どんなに考えたところで、先のことは誰にもわかりません。不動産の価値や不動産投資をすべきか否かは、現在の市場のもとで判断するしかないのです。

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