2019.2.20
資産運用

投資を実践する上での基本知識(シリーズ)リスクの種類とその大きさ

(写真=Ahmet Misirligul/Shutterstock.com)
(写真=Ahmet Misirligul/Shutterstock.com)
前回のコラムでは、リスクとリターンの関係について解説しました。今回は、金融商品のリスクとその大きさにフォーカスし、考えていきましょう。

リスクの種類と大きさを考える

一般的に「リスク」という言葉を使うときは「良くないことが起こる可能性」という意味で使用することが多い傾向です。例えば、「この仕事はリスクを伴う」「タバコはがんになるリスクを高める」といった表現で使います。しかし、金融の世界では少しニュアンスが異なり、「値動き」という意味で使うのです。

前回解説した、標準偏差はその尺度になります。また、リスクはその種類と大きさが重要です。特に金融商品の場合、複数の種類のリスクをとっているときは、とっているリスクの種類を理解し、「どんなリスクをどのくらいとっているのか」を把握することが大切になります。また、普段の値動きの大きさや、想定外のことが発生した場合、「最大でどのくらい下落する可能性があるのか」を把握しておくことも重要です。

リスクの種類

金融商品の一つである投資信託には目論見書が必ず用意されます。目論見書は、投資をされる皆さんにとって投資しようとする有価証券の重要な判断材料を提供するものです。
また、有価証券などを販売する場合には目論見書をあらかじめ、または同時に投資家に交付しなければなりません(金融商品取引法第15条2項)。目論見書の中には必ずリスクに関する記載があります。例えば、主に下記のような名称のリスクがあります。

・株価変動リスク
・金利変動リスク
・信用リスク
・為替変動リスク
・カントリーリスク
・流動性リスクなど

これらは「リスクの種類」ですが、リスクはその「大きさ」もとても大切な要素です。今回は、それぞれのリスクの種類と大きさについて考察していきましょう。金融商品を購入する際に、どんなリスクが内在しているのかを把握することが大切です。例えば、海外の国債に投資するファンドでは、下記の4種類のリスクをとっていると考えます。

(1)金利変動リスク
(2)信用リスク
(3)為替変動リスク
(4)カントリーリスク

(1)金利変動リスクは、景気循環やインフレ懸念など、金利上昇局面にあるのかどうか下降局面にあるのか
(2)信用リスクは、国の信用状況・財務状況・評価
(3)為替変動リスクは為替ヘッジをかけているのかいないのか、もしかけているなら為替ヘッジのコスト上昇に懸念はないのか
(4)カントリーリスクは発行国の政治、経済情勢など

このような点に注意を傾ける必要があります。

リスクの大きさ

次に把握すべきはリスクの大きさです。前述の通り、金融商品でリスクの大きさというのは、値動きの大きさです。

(1)普段のマーケットでの値動きの大きさ
(2)悲観的な悪材料が出たときの最大下落率

の2つで考えることができます。ご存じのようにリーマン・ショック時にはさまざまな資産の価格が大きく値下がりしました。また、リスクの小さい商品はたとえ悪いことが起こっても半値になったりはせず、10%、20%といった程度の損失で下げ止まります。逆に金やプラチナなどの貴金属は、価格が上昇することもあります。

(1)は普段のマーケットの状態では、「どのくらい価格が動くのか」「日々、1週間、1ヵ月などの単位ではどのくらい動くのか」という考え方です。この普段の値動きの大きさを測るものさしが前回述べた標準偏差です。「バラつきの大きさ」を表す数字で、リスクの大きさを数値化するものです。

ここで大切なことは、「自分が購入した金融商品をどの程度保有するか」ということです。

・短期間(1週間、1ヵ月など)
・中期間(半年から1年など)
・中長期間(1年から3年など)
・長期間(3年以上など)

そのスパンに合わせて標準偏差を見ることが大切です。

(2)は近年で言うリーマン・ショックのように、マーケットがクラッシュしたケースで、「最大どのくらい下がってしまったのか」という考え方です。商品によってリスクの種類はさまざまでも、このときの下落幅を商品ごとに比較してみると、普段はなかなか見えにくい各資産が持っているリスクの大きさを把握することができます。

2007~2009年のリーマン・ショック前後での主な金融商品の下落幅は、以下の通りです。

豪州REIT      ▲87%
米国REIT      ▲79%
新興国株式     ▲72%
日本REIT      ▲71%
先進国株式     ▲65%
日本株式      ▲60%
ハイイールド債   ▲53%
世界国債      ▲18%

これらを見てわかる通り、不動産のREITは下げ幅が大きく、債券は下げ幅が株式などと比べて押さえられていることが見て取れます。この結果から読み取れることは、ポートフォリオの大切さです。リターンにつられてリスクの高い商品のみに投資するのでは本末転倒といえます。

低いリターンでもリスクの抑えられた商品にも投資すること、さらにはその割合を考えることが重要なのです。「リーマン・ショック時の下落率における半分程度の下落はいつ起こってもおかしくない」と考え、それに備えておくことが、重要になります。

(出典 豪州REIT:ASX200REIT指数、米国REIT:MSCI米国リート指数、日本REIT:TOPIX-Jリート指数、新興国株式:MSCI新興国株価指数、先進国株式:MSCI世界株価指数、日本株式:TOPIX、世界国債:シティグループ世界国債指数。全てトータルリターン指数を使用し、円換算)

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