2019.2.18
資産運用

投資を実践する上での基本知識(シリーズ)リスクとリターンの関係

(写真=Michail Petrov/Shutterstock.com)
(写真=Michail Petrov/Shutterstock.com)
投資のプロの世界におけるリスクとリターンは、統計学に基づく「平均値」と「標準偏差」で示されます。今回は、「平均値」や「標準偏差」をわかりやすく解説しながら、少しだけ投資の世界の奥深さを感じてみましょう。

平均値とは?中央値とは?

まず、平均値の計算方法は皆様ご存じの通りで、それぞれのデータを足し合わせ、その合計をデータ数で割ることで算出できます。これはExcelの関数でも@averageを使って簡単に計算可能です。ところで、平均値という考え方は簡単に使うことができますが、統計学上は万能ではありません。平均値をそのまま「全体の平均を表す」と考えてしまうと、大きな誤解を招いてしまいます。

なぜなら、平均値が全体のデータを網羅的に表現しないからです。よく出てくる話が、年代ごとの貯蓄額です。毎年、金融広報中央委員会が調査した年代ごとの貯蓄額が、夏ごろに発表されます。最新のものは、2018年に調査された結果です。このような調査で出てくるのが、平均値と中央値になります。
出典:知るぽると(金融広報中央委員会)

例として、30代の貯蓄額を見てみましょう。世帯の収入ごとに、平均値と中央値が出されていますが、これによると500万円~750万円未満の場合、平均値が749万円、中央値が250万円と499万円もの差が出ています。平均値は「数値の総量を個数で割ったもの」、中央値は「すべてのデータを小さい方から順に並べたときに真ん中に来るもの」です。

この種の統計では、平均値の方が中央値より必ず高めに出ます。よく、「ああ、世間一般と比べてこんなにも貯蓄額が低いのか」と感じるケースがあるかと思いますが、平均値を基準と考えると、こういう現象に出くわします。世間一般的な状況と比較するときは、平均値より中央値を意識した方がより現実的です。

では、なぜこのようなことが起きるのでしょうか。それは統計のもとになるデータのばらつきにより、大きな差が生じるからです。この差を認識するのが、標準偏差という数値です。

リスクを数値化する「標準偏差」

標準偏差は「バラつきの大きさ」を表す数値で、金融の世界ではリスクの大きさを表します。「極端な例以外、おおよそこの範囲の中に収まる」ということを示してくれます。この「標準偏差」という言葉を理解するためにまず「偏差」を説明します。2つの金融商品があります。それぞれの値動きを見てみると、一般的に株式の方が債券に比べて値動きの幅が激しいのは、ご存じの方も多いのではないでしょうか。

標準偏差とは、それぞれのデータの中で、平均値から各データのプロットがどの程度離れているかを表したものにほかなりません。Excel関数ではSTDEVPまたはSTDEVSを使い簡単に計算することができます。したがって、これを金融商品に当てはめると株式の方が債券よりも標準偏差が大きく、価格のブレが大きいものとなるのです。

値動きの特性を表すリスク・リターン特性

金融商品ごとのリスクとリターンを表す際に、横軸は各資産の収益率の標準偏差(リスク)、縦軸は各資産の収益率の平均値(リターン)を使います。例として日本国債を見てみましょう(財務省 国債金利情報)。2003年8月~2015年7月末の12年間を取った過去データでは、リスク年率2%、リターン年率1.8%です。これは収益率の平均値が年率1.8%で、これにリスク(標準偏差)一つ分を足した年率3.8%とリスク一つ分を引いた年率マイナス0.2%の範囲内にサンプルは収まるということになります。

ご存じの通り日本国債の平均収益率は他の資産に比べて低いですが、リスクも2%と低くなります。一方、日本株式は平均収益率が6.7%と日本国債よりも高いですが、リスクが17.8%と良いときと悪いときの差が激しく、日本国債のリターンを大きく下回るようなケースもあることがわかります。
(出典:日本国債:シティグループ日本国債指数、日本株式:TOPIX)

実際、金融機関で働いているクォンツと呼ばれる担当者は、もっと複雑な計算式を使ってそれぞれの商品特性を数字で出しています。これが統計学を使った金融商品のリスクとリターンとなります。ただし、出てきた平均値や標準偏差は、あくまで「過去」のデータから算出した値にすぎないということに注意しましょう。過去の動きが必ずしも未来の予想にはなり得ないことは理解しておく必要があります。

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