同じ大都市圏でも駅からの徒歩時間で資産価値はこんなに違う

同じ大都市圏でも駅からの徒歩時間で資産価値はこんなに違うマーケット

2018年度は全国的に地価の上昇が話題になっていますが、実は全国すべてのエリアで地価が上がっているわけではありません。エリアによる格差は引き続き小さくなく、不動産投資を考えるときには、地価上昇、資産価値が期待できそうなエリア(又は極端に下がらないエリア)を見極めることも重要です。

大都市で上がっていても地方圏は依然下落傾向

国土交通省が土地取引の指標として毎年公表している『地価公示』によると住宅地の全国平均の地価変動率は下記となります。

【全国住宅地の地価変動率】
・2017年:0.0%
・2018年:0.3%

【東京圏住宅地の地価変動率】
・2017年:0.7%
・2018年:1.0%

全国住宅地の地価変動率は2017年度は横ばい、2018年は0.3%の微上昇です。
同東京圏に限ると2017年、2018年ともに上昇。

地方都市はどうでしょうか。地方圏住宅地と地方圏の中でも上昇率が高かった札幌市、仙台市、広島市、福岡市を除いた地方住宅地の地価変動率は下記となります。

【地方圏住宅地の地価変動率】
・2017年:-0.4%
・2018年:-0.1%

【地方圏住宅地の地価変動率(札幌市・仙台市・広島市・福岡市を除いた地域)】
・2017年:-0.8%
・2018年:-0.5%

地方圏住宅地の地価変動率は2017年、18年ともに下落しています。また、地方圏のなかでも、札幌市、仙台市、広島市、福岡市の地方都市4市は上昇率が高く、地方圏全体の数値を押し上げていますが、この4市を除いたその他の地方圏住宅地の変動率はさらに下落率が大きい状態が続いているのです。
投資用不動産の資産価値を考えれば、地価の上昇が期待できる大都市部、それも東京圏を狙うのが得策ということになりそうです。

同じ都道府県内でも優勝劣敗が明確になっている

しかし、ひとくちに東京圏といっても一律に地価が上がっているわけではありません。下記は東京圏での都県別住宅地の地価変動率となります。

【東京圏での都県別住宅地の地価変動率(2018年)】
・東京都:2.5%
・神奈川県:0.1%
・埼玉県:0.6%
・千葉県:0.4%

2018年住宅地の上昇率をみると東京都だけ上昇率が突出しています。

次に東京都をさらにエリア別に見てみましょう。

【東京都のエリア別住宅地の地価変動率(2018年)】
・東京都心部:4.6%
・東京都区部南西部:3.5%
・東京都区部東北部:4.1%
・東京23区外:0.8%

都心部:千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、台東区、渋谷区、豊島区
東京都区部南西部:品川区、目黒区、大田区、世田谷区、中野区、杉並区、練馬区
東京都区部東北部:墨田区、江東区、北区、荒川区、板橋区、足立区、葛飾区、江戸川区

東京都の都心部は4.6%の上昇で、23区中心部の上昇率が高く、反対に東京都でも23区以外の多摩地域の上昇率は0.8%にとどまっています。

この格差は何も東京都だけに限りません。神奈川県をみても、これまで住宅地としての人気が高かった湘南エリアの地価の停滞が目立っています。

【神奈川県のエリア別住宅地の地価変動率(2018年)】
・横浜市西区:2.8%
・横浜市中区:2.7%
・川崎市中原区:2.3%
・鎌倉市:-0.1%
・茅ヶ崎市:-0.1%
・逗子市:-0.6%
・平塚市:-1.5%

横浜市の中心部である西区、中区や武蔵小杉のある川崎市中原区などは上昇。逆に以前は人気の高かった鎌倉市や茅ヶ崎市、逗子市などの湘南エリアでは地価が下落しています。
東京圏、東京都内、神奈川県内でもジワジワとエリアごとの格差が広がりつつあります。一律に上昇、下落しない状況下では、不動産投資における場所選びがますます重要になってきます。

最寄り駅からの距離による地価の差が拡大傾向

次に18年の「地価公示」における、三大都市圏の最寄り駅からの距離別での地価変動率をみてみましょう。

【三大都市圏の最寄り駅からの距離別地価変動率(2018年)】
・0.5km未満:1.7%
・0.5km以上1.0km未満:1.3%
・1.0km以上1.5km未満:0.6%
・1.5km以上2.0km未満: 0.1%
・2.0km以上:下落

最寄り駅からの距離が近いほど、地価は上昇、遠くなるほど下落しています。三大都市圏といえども駅近かどうかで地価には大きな違いが発生しているのです。また、全国一律で地価が上昇している訳ではないことを理解しておきましょう。

しかも、この差は年々大きくなっています。
16年の『地価公示』では0.5㎞未満の上昇率は1.3%だったのが、上にあるように18年には1.7%に拡大しました。0.5㎞以上1.0㎞未満も16年の0.9%の上昇率が、18年には1.3%まで高まっているのです。
不動産広告の表示では80m=1分として計算されます。0.5㎞未満といえば徒歩7分圏、1㎞未満は13分以内です。便利な場所への評価がいっそう高まり、それが地価に鋭く反映されるようになっています。

不動産投資の物件選びにおいては、理想をいえば都市圏の人気の高いエリアの、最寄り駅から徒歩数分以内、遠くてもせいぜい10分前後までというのがひとつの目安になるのではないでしょうか。

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アセットONLINE編集部
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